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ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)
 
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ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書) (新書)

堤 未果 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

貧困層は最貧困層へ、中流の人々も尋常ならざるペースで貧困層へと転落していく。急激に進む社会の二極化の足元で何が起きているのか。追いやられる人々の肉声を通して、その現状を報告する。弱者を食いものにし一部の富者が潤ってゆくという世界構造の中で、それでもあきらめず、この流れに抵抗しようとする人々の「新しい戦略」とは何か。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

堤 未果
東京生まれ。ニューヨーク州立大学国際関係論学科学士号取得。ニューヨーク市立大学大学院国際関係論学科修士号取得。国連婦人開発基金(UNIFEM)、アムネスティ・インターナショナル・NY支局員を経て、米国野村證券に勤務中、9・11同時多発テロに遭遇、以後ジャーナリストとして活躍。現在はNY‐東京間を行き来しながら執筆、講演活動を行っている。2006年『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命―なぜあの国にまだ希望があるのか』(海鳴社)で黒田清・日本ジャーナリスト会議新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 4.0 戦争すら商売の対象になる米国の二極化の現実, 2008/5/3
 アメリカでは貧富の差が激しく二極化が一層深刻化していると頭で理解したつもりでいても、例えば2005年に全人口のうちの12%が飢餓状態を経験したとか、また医療費が異常に高く家族の誰かが盲腸の手術を受けただけで途端に貧困層に転落しかねない、という厳しく歪んだ現実までは知らなかった。
 この本の醍醐味は、深刻な二極化の問題を「民営化」という切り口で捉えた点にあると思います。民営化された様々な事業によって私腹を肥やす一部富裕層と、その餌食になってさらに貧しさに拍車をかける大勢の人々。極めつけは、貧困にあえぐ若年層(米国内の不法滞在移民すら標的)を甘い言葉で釣り上げて戦場に送り込む恐るべき民間企業の存在であり、二極化というテーマをこの不気味な「死の商人」の話で完結させた著者の視点は、出色だと思います。

 数年前に英人の同僚から聞いた話を思い出します。その同僚はイスラエルからイギリスへ帰る機中で、見るからに屈強な40代前半とおぼしき英人男性と隣り合わせました。雑談を交わして打ち解けた後に聞いてみると、彼はイスラエルに従軍するプロの傭兵であり、4ヶ月ぶりの休暇で妻子のもとへ帰るところだと。「なぜそんな仕事を?」と同僚が聞くと、彼の答えは「高給であり止められない」だったそうです。

 この著者の本を読んだのはこれが初めてでしたが、衝撃的とまでは言わないまでも、かなりインパクトのある本でしたね。超大国アメリカの病んだ一面について自ら現場に足を運んで当事者達の生の声を集め、ここまで完成度の高いルポに仕上げたことは、評価に値するのではないでしょうか。
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38 人中、30人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 貧困から見たアメリカ, 2008/3/10
By 雪獅子 (愛知県江南市) - レビューをすべて見る
 「ある程度の富の再分配は、必要である」事が、この本の主張である。
 教育・医療など、民間企業風の効率重視・利益本位が全て正しいといえないジャンルも見極めるべきであり、何でも「民営化」がいい方法とは、いえないのである。
 そういう「生存権」的な部分をある程度保障しなくては、一度「低所得」の立場になってしまった人が、生活を立て直すチャンスを奪ってしまう。
 低所得であるという事は、日常の生活にも窮乏している為に、人生の選択が狭まるのである。そして、「収入を得る為には、仕事が選べない=弱者」の立場にたたされてしまう。
 すると、その弱みを利用して、“労働条件に文句を言わない低賃金労働者”を供給するというビジネスまで出来てしまう。やはり、ある程度国や政府レベルで調整をかけなくては、「健康的で文化的な生活」を保障するのが難しくなる。
 と、ここまでは納得できたのだが、後半の憲法九条に救いを持ってくるところが、私としても、やや違和感を感じました。殆ど論証をされずに、唐突に結論を持ってこられた感じは否めません。だから、星は4つ。
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42 人中、33人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 今日本で進行しつつある民営化と進む格差などの現象が重ね合わされてしまう, 2008/8/31
 本書で紹介されているのは、貧困化が進むアメリカで起こっている事実と、それを利用しようとする企業と政府の現実である。

 本書によれば、学校給食に食い込むフードビジネスが、マクドナルドやピザハットなどのファストフードであるため、貧困層の多い公立学校では約半分の子供が肥満児になっている。また、ハリケーンカトリーナの被害を受けたニューオーリンズ地区の住民に対して政府が出した救済策は、とうてい無理に決まっている貧困層に対する政府の土地の払い下げである。このため、富裕層が土地を買って、貯水池や高級コンドミニアムになってきているという。さらに、高額な医療費のために無保険者が5000万人近くに増大し、一方で病院にも市場原理主義が進んでコスト削減が進み、医療過誤も急増しているという。

 このような現実をいくつも示した上で、著者がもっとも力を入れているのがイラク戦争に関する部分である。大学に通えない貧困層に奨学金が出るといって食い込む米軍のリクルーター。戦争ビジネスとしてチェイニー副大統領がCEOをしていたハリバートン社に見られるような派遣会社が世界中に網を巡らして、貧困国からイラクに労働者を送り込んでいるという現実。

 富裕層と貧困層という二極化が進行している中で、これを民営化を進める政府が戦争に活用しているという、市場原理主義が行き着くところまで行ってしまったアメリカ。
 ここに、今日本で進行しつつある民営化と進む格差などの現象が重ね合わされてしまう。

エピローグで「消費をやめましょう」とクリスマスシーズンにマンハッタンの玩具店の前で叫ぶ教会の牧師を紹介している。
このメッセージが、これからの世界経済への一つの回答を示しているように思えてならない。
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