今,社会福祉サービスの縮小が弱者をより弱い立場においやっているが,弱者の典型である母子家庭はそのインパクトをダブルで受けている。
一つは児童扶養手当に代表される,母子家庭を対象とした福祉対策の改悪化。現在230万円の所得がある母子家庭の支給額は1万円。2006年での父子家庭平均所得が421万円,一般家庭で563.8万円であり(巻末参考資料),低所得母子家庭へのカバーとしてはあまりに貧弱。
もう一つは社会一般の福祉サービスが貧弱であること。今の日本は公立学校でさえカネがかかる。当事者調査によると中学入学時の学習用品以外(学校指定の制服等)の物品購入で11万6千円必要だったという。低所得により,多くの子供が向学意欲を失う中,必死に勉強し大学に入学した一部の子供たちを,民営化団体による奨学金制度のしめつけが苦しめる。以前は研究職等についた場合返済免除された奨学金も,今やその制度はなくなり,万が一奨学金返済が滞ればブラックリストにのせられ,大きな不利益を被るという。
2002年11月の児童福祉手当法改悪は民主党も賛同したという。今,政権党となった政党と,「命を守る」を標榜する党首は,いかにこの問題に対処していくのか?
著者が軽く
おひとりさまの老後に言及していますが,私は,もっとも苦しんでいる弱者には何の役にも立たない日本のブルジョア学者たちへの静かな怒りを感じました。
なお,子供の貧困問題・貧困の基準となる「相対的貧困」の考え方等については,
子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)が参考になります。