大阪の釜ヶ崎(あいりん地区)を中心に書かれた野宿者=ホームレス問題のルポ。
ただ、ルポといっても短期間に覗き込んだルポではなく、十分な期間とさまざまな著者の活動を通し、
また豊富な資料を通して、科学的にもまとめられている力作。
「ワーキングプア」「ネットカフェ難民」など最近注目されているが、それらを狙った流行、売れ筋をねらった新書ではなく、
長年筆者が追い求めてきた問題が丁寧に述べられている。
題材はどうしても行政や公的機関への感情的な糾弾になりがちではあるが、この本ではその傾向はかなり抑えられている。
また、現在のホームレス問題だけではなく、高度経済成長期以降の産業構造と社会の変化から、
寄せ場と日雇い労働者、ホームレスの高齢化と若年化、生活保護、不安定就労・非正規雇用についても述べられており、
さらに、行路死、世界最悪の結核感染地、○○難民、ホームレス襲撃、闇のホームレスビジネスといったところまで掘り下げている。
生活保護を初めとする社会福祉・医療行政や、
内外のホームレス問題の現状と解決案にも言及しており、非常に興味深く読めた。
学術書にありがちな凝ったかた苦しい文章ではなく、読みやすいのもよかった。