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ルポ 労働と戦争―この国のいまと未来 (岩波新書)
 
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ルポ 労働と戦争―この国のいまと未来 (岩波新書) [新書]

島本 慈子
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

テクノロジーが戦争を支える時代とは、「民需と軍需の境界」が曖昧になる時代である。現在、日本国内の労働はどのように戦争と関わっているか。それは九条改憲によってどう変わるのか。在日米軍基地、自衛隊、兵器産業、公務員、大学、農業…さまざまな「仕事」の現場から「戦争」を問うノンフィクション。日本の進路を考えるために。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

島本 慈子
1951年10月大阪市に生まれる。1974年3月京都府立大学文学部卒業。「月刊奈良」「読売ライフ」編集部を経て、2001年フリーに。現在、ジャーナリスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 195ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2008/11/20)
  • ISBN-10: 4004311586
  • ISBN-13: 978-4004311584
  • 発売日: 2008/11/20
  • 商品の寸法: 17.4 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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13 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 薄くなる軍民の壁, 2009/1/3
By 
革命人士 - レビューをすべて見る
(トップ500レビュアー)   
レビュー対象商品: ルポ 労働と戦争―この国のいまと未来 (岩波新書) (新書)
著者の言う通り、戦争はない方が良い。しかし、対抗力がないと今のガザのようにやられたい放題やられてしまう。自衛隊のイラク派遣で9条の「専守防衛」が危うくなっている、と著者は言う。人を殺す武器を作り、使う人は必要だし、著者の言葉を借りれば「武力を使って平和を作ってきた」戦後日本を支持する私は「武力を使わず平和を作る」べきという著者と考えは根本的に相容れない。しかし、著者のように誰かサイレンを鳴らす人は必要なんだと思う。

本書では、「軍」と「民」の関係が曖昧になり、様々な仕事が軍需になりうる危険をアピールする。軍需産業のすそ野の広さ(気象・民間航空も)を知ったほか、著者の懸念がまだ「懸念」で済んでいること(本書によると米仏には日本の30倍の軍需労働者がいる)にむしろ安心した。下地島空港の軍用化問題、米軍基地の労働の実態について、当事者によく取材していて、主張の当否はともかく、声がよく伝わった。
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5つ星のうち 5.0 民生品製造も戦争へと繋がっている。, 2011/4/27
By 
ぽるじはど - レビューをすべて見る
(トップ500レビュアー)    (VINEメンバー)   
レビュー対象商品: ルポ 労働と戦争―この国のいまと未来 (岩波新書) (新書)
99年より急に右傾化が激しくなった政府だが、近年の(日米)軍事(同盟)に関する出来事を年表で示す。

96年 橋本・クリントン「日米安保共同宣言」署名、「日米防衛協力の為の指針」見直しに合意。
 99年 地理的限定のない周辺事態法成立。
 01年 テロ対策特別措置法、自衛隊法改正。インド洋での自衛隊艦艇による給油、防衛秘密の新設で民間企業社員も防衛秘密を漏らすと刑事罰を受ける事になる。
 03年 武力攻撃事態法など有事関連3法案成立。陸上・航空自衛隊イラクへ派遣。弾道ミサイル防衛(BMD)導入を閣議決定。武器輸出規制緩和へ。
 04年 国民保護法、米軍活動円滑化法など有事7法案成立。日米物品役務相互提供協定(ACSA)改定、米軍と自衛隊の一体化が進む。
 05年 与党自民党が、新憲法草案・自衛軍を創設する草案発表。日米両政府により「日米同盟―未来の為の変革と改変」を発表。
 06年 教育基本法改正、前文の「平和を希求」が「正義を希求」に変更される。
 07年 国民投票法・米軍再編推進法(駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法)成立。 日米間で、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結。
 08年 宇宙基本法成立。

 これらが次々に法制化され、既成事実として自衛隊の日本軍(米軍下請け)化が進む中、軍事は民間人も荷担するようなシステムとなっている。

 直接的に修理や補給、休息、快適な基地ライフの提供といった「後方支援」を提供する基地労働者でさえ「基地は戦争を遂行する為の施設である」という認識と、基地の向こうに「人間の死」を嗅ぎ当てる鋭敏な嗅覚が薄れつつある。
 一人一人の仕事が細分化される中、現場労働者は、戦争に荷担しているイメージで就職・仕事していない。

 基地労働者が反戦を公言理由できない理由の一つとして、基本労務契約に「保安解雇」条項がある。
 「米軍の保安にとって有害な団体・会の構成員」「そういう団体・会と密接な関係のある者」の解雇と、米軍が判断する「軍規の維持の紊乱を含む安全上の理由による解雇」の条項だ。
 ベトナム戦争時は、かなりの数の労働組合活動家が、保安解雇を名目として職場を追われた。

 民間人について言えば、戦車は1200社、戦闘機は2500社の子請け・孫請け、非正規労働者が作っているし、インド洋給油やアラビア海へ出動の際、補給艦やイージス艦の点検・修理に、三菱重工などの労働者が派遣されたが、職場で指名を受ければ、拒否の選択肢はなかった。
 弱い立場の人が軍事産業の未来を支え、自らも傷つきながら見知らぬ他者を傷つけるかも知れない仕事に従事する、という深く入り組んだ迷路にある。

 それに民生品を作ったつもりでも、軍にとって有益であれば採用され、軍需品と民生品の100%の線引きはできない。

 軍事雇用が大きな問題とならないのには数の問題もある。
 日本国内の防衛産業全体に従事している労働者は約6万人、米では360万人、フランスでは100万人で、対人口比に直すと日本の30倍の軍需労働者がいる事になる。
 このように日本では数が少なすぎて、良くも悪くも軍需生産の現場が一般に見えにくい理由となっている。

 3月11日に東日本を未曾有の大震災が襲ったが、戦時には気象情報も軍部が独占する事となる。
 1939年、戦時下の日本では、軍用資源秘密保護法によって、気象情報が「保護すべき秘密」のひとつとなった。
 41年12月8日の真珠湾攻撃当日からは、中央気象台が陸海軍大臣から気象管制を命じられ、ラジオの天気予報も台風の警報、地震の被害も知らされなくなった。
 その結果、42年の台風では死者だけで891人、43年7月は211人、9月は768人、44年の昭和東南海地震では地震・津波で死者・行方不明者数は1223人を数えたとされ、敗戦前後にかけて4年連続で1000名を超える死者を出した4大地震(鳥取・三河・南海)の被害が出たが、当時は災害を防ぐ事より軍事秘密を守る事が重要視された。

 近年では、82年フォークランド紛争時、イギリスはマルビナス諸島(スペイン語読み)の天気予報を中止し、湾岸戦争時と、03年のイラク戦争時に、ミサイル発射に必要な狙われる側のイスラエルの気象情報を、狙う側のイラクが入手する事を防ぐ為イスラエル国内での天気予報が一切停止された。

 このように戦時には、「世界で起きるマグニチュード6以上の地震の2割が日本で起こる」と言われているのに、津波警報の発令すら止まってしまう。

 戦争の後始末についても、民間企業の復興以外に退役軍人の補償問題がある。
 兵士の外傷性脳損傷、PTSD、手足の切断、脊髄損傷といった後遺症では、湾岸戦争時の保証だけでも、07年時点で20万人以上の退役軍人に毎年43億ドルを超える補償金・恩給・障がい手当を支払い、累積500億ドル支払い、05年現在、第1・2次対戦、朝鮮、ベトナム、湾岸戦争の退役軍人(とその遺族)に障がい給付金345億ドル+障がい退役手当10億ドルを1年で支払っている。

 これには勿論、誤爆で殺された戦地の民間人被害者への補償金は、ほぼ払われていないので入っていない。
 ベトナム・イラク・アフガンでの民間人死亡者数は、“誤爆(ピンポイント爆撃が可能との触れ込みで誤爆もないものだが)”などの“付随的犠牲”を含めて、何人いるのかすら不明であるが、一例として9.11の犠牲者の補償額の平均は破格の2億4000万円で、アフガン攻撃時の誤爆犠牲者で、暫定政権への協力者、アメリカへの情報提供者の遺族に限り、その調査にCIAが直接出向き、犠牲者を確認した上で、13万円が支払われた事を記す。

 後半では、銭で軍事を買う例として沖縄県・下地島を取り上げている。
 下地島の練習用飛行場は、航空機マニアの間で有名であるが、71年の屋良確認書、79年の県議会の附帯決議と西銘確認書によって、沖縄県が管理運用主体とする民間航空機訓練場として建設されたが、68年には既にJALはいずれ実機訓練ではなくシミュレーターへの切り替えを示唆しており、訓練回数もピークの半分以下に落ち込み、航空機燃料譲与税などの収入も落ち込み、会計検査院が98年に存在意義を認めない指摘をした事に伴い、01年には伊良部町議会が自衛隊の訓練誘致を決議、米軍は本当の海兵隊を減らす代わりに嘉手納基地の米空軍に使わせろと提案、町からは基地交付金の話も出たが、住民の反対運動や9.11もあって、町長が誘致を断念した。

 このように軍事は原発同様、過疎化し雇用の場が無くて困っている地方にとっては麻薬であり、建築中の工事費、建築後の雇用や補助金によって人口や役場の予算は膨らみ、それを維持しようと更に誘致を推進せざるを得なくなる。
 08年宮古島市は、下地島空港とその周辺を平和利用と地域振興に活用し、戦争に頼らない経済、軍事に依存しない労働へ挑戦する決意を新たにしたが、辺野古や普天間移設問題は、日米は辺野古へ、地元は県を挙げて反対とねじれ、早期決着は望めなくなっている。

 本書の指摘を読めば、誰もがどこかで戦争下端の末端を支えている現実が明らかとなる。
 その上で、抗うことなく今日と同じ明日を過ごす事は、戦争へと続く道ではないかと立ち止まって考え、“アイヒマンの子”としてシステムに組み込まれながらも抗わねば、この日常はいつかの道へと続いて行ってしまうだろう。
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