若い頃はただ眠いだけのような印象だったフランス映画を好きになったのは、ロマン・デュリス主演の「パリの確率」とジャン=ピエール・ジュネ監督の「アメリ」がキッカケ。しかしよく考えてみたら子供時代からジャン=ポール・ベルモンドやアラン・ドロンといったフランス人俳優主演の映画が大好きであったことを思い出し、つまり昔からフランス映画好きだったのではないかという事実に気づいたのだった。
フランスの若手人気俳優ロマン・デュリスは、たまたま彼が友人にソックリであったことからなんとなく気になって何本か観たら面白い映画が続いた。「真夜中のピアニスト」が大はずれのつまらない映画だったために見送っていた「ルパン」だが、第一印象通り結構高いレビュー評価がそろっていたのでようやく鑑賞してみた。
序盤は意外と平凡で期待はずれかと思ったが、じわりじわりと高まって行く謎めいたストーリーは緩やかにクライマックスへと繋がり、それ以降も凝ったシナリオの展開で飽きさせず、130分の長丁場を観終えた後の余韻も爽やかだった。同じ監督の作品を前に1本観ているが、それはソフィー・マルソー主演の駄作だったので、今回は脚本が良かったのではないかと思う。
原作を読んだことがないのでどこまでが脚色なのか分からないが、多数の様々なエピソードがとても面白く、怪盗ルパン(三世と同様に義賊)の成長譚を描いている。正直言ってロマン・デュリスのコミカルで青臭いイメージはアルセーヌ・ルパンには合わないと思っていたのだが、この波瀾万丈のストーリーを最後まで観ると、どうしてあんな軽薄な男が怪盗紳士のイメージを持つに至ったのかということが、なんとなく理解できるような流れになっている。
この映画のほとんどの場面で演じられているアルセーヌ・ルパンは、たぶんアニメの「ルパン三世」のイメージなんじゃないかと思うが(昨今の常識としてフランスは日本の漫画・アニメにかなり毒されているらしいので「ルパン三世」を知らないわけがない)、それはラストまで観れば、ほとんどの人に納得してもらえるのではなかろうか。
カリオストロ伯爵夫人と言えば「ルパン三世」のクラリスを思い出してしまいがちだが、この映画あるいは原作においてはいろいろ違っていて興味深い。また、不死身の魔女ジョゼフィーヌの不思議な存在感がちょっとファンタジー入っているところは脚色だろうと推察するが、親子・愛人・妻子などの愛憎劇が非常に込み入っており、なかなかの秀作だと思う。あえて「ルパン三世」ファンにこそお勧めしたい1作だ。