このイスラム世界の文学「ルバイヤート」はイギリスなどでも、イスラム風
装丁で、エキゾチックな感じを強調して売るなど、人気があるらしい。
岩波文庫の『古典のことば』でこの作品を知り、興味を持ったので読んでみた。
4行詩が100篇以上おさめられ、(本の中では「哲学的刹那主義」と
紹介されているが)かなり、人生悟ってる感がある。
この短い詩の数々を貫く理念は、「どうせ死ぬんだし。宿命はどうしよう
もないし。明日どうなるかなんてわかりっこないんだし、飲もうぜ」という
ことである。過去は忘れ、未来を思い煩うのは無駄。短い、一回きりの
人生、悲しんでいてはもったいない。今を生きろ!ってことだ。いわば、
carpe diemだ。
この世は舞台で、人間は鎌で刈り取られてゆく、というようなシェイクスピア
そっくりの無常観が出てきて驚かされた。無常観は時代も国も超えてある
ものなのだと実感させられる。
しかし本作にみる無常は、さびしさよりも、「だったら、現世を精一杯
エンジョイするぞ」という考え方が特徴。帰ってきた人がいない以上、
天国も地獄のこともわかんないし、それだったら今そこにあるものをつかめ!
というわけだ。著者はすでに人生を悟り、世の中を達観している。それが
時に開き直り、皮肉などになってあらわれ、おもしろい。
巻末には当時の状況(特に自然科学分野の)、著者のこと、詩学の詳しい
解説がたっぷりついている。
まえがきが1947年・・・というわけで微妙に日本語も古いが読みやすい本。
ワイド版は文字の大きさが現在の文庫のサイズ程度になっており、更に
読みやすくなっている。