内容(「CDジャーナル」データベースより)
アルゲッリチが、若手育成のために開いているルガーノ・フェスティバルの2002年から4年にかけての記録をまとめたアルバム。ここから大きく羽ばたいた人材も出て、きらきら光る才能の競演が凝縮されている。
内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
アルゲリッチの参加した曲にはいずれも録音があり目新しくはないが、ファンに聴き比べの機会を与えてくれるだろう。プロコフィエフが初めてピアノなしで作曲した曲を2台ピアノ版に書き換えた寺嶋編「古典交響曲」は、脳天気で溌剌とした擬古典的曲想の気安さを、息の合った合わせ技で捌く快活さが売り。「くるみ割り」は編曲者本人との演奏をスケールダウンさせた印象だが、手堅くまとまっているとも言えるだろう。続くショスタコーヴィチが最もクオリティが高い。第1・3楽章の陰鬱な寂寥感から、偏執的なまでに繰り返されるモチーフが狂気の刻印を滲ませる第4楽章まで感情的な起伏はきわめて激しく、物の怪でも憑いたような熱さと奏者たちの名技の炸裂とで聴き応え満点。一方でシューマンの五重奏では奏者たちのレベルにバラつきがあるせいか、スケルツォを除いて縦の線が乱れる箇所が散見される。ここでも発揮される爆発的高揚感は魅力には相違ないが、引き替えにアンサンブルが生み出す濃厚で有機的な旨味は薄れているのも事実。ソナタでもヴァイオリンはやや迫力を欠くが、若手芸術家奨励というこの音楽祭の性格上、温かく見守るつもりで聴くのがおそらくは正しいのだろう。彼女が参加していない曲目は、さすがに数多い録音から選りすぐられただけはあると思わせる。ブラームスのソナタでは、ややピアノが平板な上に穏便にすぎるテンポ設定とはいえ、ヴェンゲーロフの緻密な造形が聴き物。共にカプソン兄弟が中心となったシューベルトの三重奏曲とドヴォルザークのピアノ四重奏曲は息の合ったアンサンブルが心地よい。ドヴォルザークのこの曲はさほど有名ではないが、ルノーの夢幻的で流麗なヴァイオリンと渋いエスプリを感じさせるゴーティエのチェロが織り成す甘い郷愁はもとより、軽快なリズムと明晰な音色でピンと一本筋を通すピアノのデラハントも見事で、ノスタルジックな魅力を巧みに引き出している。 (川田朔也) --- 2005年08月号