マルタ・アルゲリッチが主催するルガーノ・フェスティバル2005のライヴ録音。
この音楽祭のライヴ録音のリリースも定番化しつつあるようだ。ライヴであるが録音状況は比較的良好で安定している。
複数の奏者によるピアノものより、弦楽アンサンブル+ピアノの各曲の方が色合いがよく、録音セッションとの相性も良好なようだ。
さて、収録曲も参加者も相当数にのぼるので、私が特によく感じたものについて簡単に書かせていただく。
まず冒頭に収録されたメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第2番。ここではチェロ(ゴーティエ・カピュソン)とヴァイオリン(ルノー・カピュソン)の豊かなで溶け込むような音色の交錯が見事である。
メンデルスゾーン特有のセンチメンタリズムに満ちているが、安っぽく響くような箇所がなく、シックに収まっており、自然な表情変化が美しい。
ラフマニノフのチェロソナタも同様で、今回の録音を通じていかにも「室内楽」的な調和や融合を、各奏者がたいへん大切にしていることが感じ取られる。
マイスキーのチェロの音色はやや奥ゆかしいが、過剰な発色を抑えた感があり、説得力のあるものだ。
「面白さ」という点ではアルゲリッチとアンデルジェフスキによる「四手のための」モーツァルトのピアノソナタ第15番。
グリーグのチャーミングな、それでいて鮮やかに個性を主張する編曲は心憎いし、それをことさらのびのびと弾いており、たいへん好感が持てる。
ジルベルシュタインらによるブラームスのピアノ五重奏曲ではバランスのよいハーモニーが聴ける。
カルロス・グアスタビーノ(Carlos Guastavino 1912-2000 アルゼンチン)やマヌエル・インファンテ(Manuel Infante 1883-1958 スペイン)による楽曲はいかにも「エスニック」で雰囲気豊か。
通して音楽祭ならではの華やかさのある、聴いていてたいへん楽しいアルバムである。