表題の人物は、これまでのシンガポールの代名詞と言えることを、非常に分かりやすく明快に説明している。
私個人はシンガポールの帰国子女だが、当時大人でなかったので、この国に日本がなしたことを知らなかった。
しかし、日本人学校に通いながら、華僑の教師や職員たちの、過去を過去とする努力と苦悩を多少感じ取ることはあった。
またそうして滞在した70年代前半こそは、リー・クアンユーの絶頂期だったことは、子どもながら何となく肌で感じることが出来、それは第一次オイルショックの波がシンガポールに届く寸前までの、黄金期の最後期だったので、その首相の敏腕を満喫し得た期間でもあった。
それから数十年後にして、自分が何処に居たのかを網羅的に知ることが出来たのは、この明晰な著書のお陰だ。
こんな幸せな政治家は二度と輩出し得ないと思わされるシンガポールの個性を、是非この著書を通して実感されたし。