原作・総監督の富野由悠季氏が昔から発表していた、異世界・バイストンウェルを舞台にしたヒロイックファンタジーモノのいくつかの作品を整理統合し、現代の映像技術をふんだんに駆使し、より現代的な要素も加えて構築し直しされたと言う印象の作品。『聖戦士ダンバイン』『リーンの翼(小説版)』『オーラバトラー戦記』『ガーゼィの翼』といった作品のエッセンスを取り入れながらも、そのどれとも違った展開が繰り広げられています。
ここまで視聴してきた正直な感想は「一連のバイストンウェル・サーガについて最低限の基礎知識は必要な作品」だと言う所ですね。過去の作品群を全く知らないと言う方に対して、バイストンウェルの根本的な世界観や舞台設定、オーラ力・オーラロード・聖戦士・フェラリオ・地上界といった基本的な語句に対する一切の説明がなされていないのはあまりにも不親切に感じられます。が、元々富野氏の作風は、多くの情報を投げっぱなしにし、物語の展開やそこで繰り広げられる会話の端々から、視聴者自身に背景やテーマ性と悟らせると言うものですので、その意味では極めて富野色の強い作品だと言えると思います。
前巻までは舞台設営と役者の配置という位置付けだったと思いますが、今巻からは非常にダイナミックにストーリーが動き出します。一宿一飯の恩義でいきなり参戦とか、主人公とヒロインが再会した時には恋に落ちているとか、在日米軍が反旗を翻し日本政府に要求を突きつけているとか、とにかくストーリー展開がめまぐるしく与えられる情報量が半端では無いので、前巻まで以上に視聴者を選ぶ流れになっていると言う印象です。全く初めてバイストンウェルの物語に触れたと言う方はかなり置いてきぼりになってしまいそうですね。
これが富野作品と言ってしまえばそれまでですが、オーラバトラーの描写やキャラの性格付け、及び会話等、普通に楽しめる要素も多いだけに少し残念ですね。