本書はサブプライムローン問題に端をなす金融危機の仕組みを非常にシンプルにまとめ上げている。
本書一冊で金融を専門としない方にとっては現在の概況を把握するには十分といえるだろう。
とくに汚染米を例にとってサブプライムローン債が引き起こした信用収縮を説明している個所は明解に本質を突いているといえる。
信用というのは100の事柄のうち1つ2つでも劣悪な事柄が存在していればその他が正しい事柄であったとしてもすべての信用を失墜させるの足るものである。
また本書がより以上に評価されてしかるべきなのは金融機関に在籍していた著者が金融という一分野の本質を驕らずに冷静に客観的に捉えていることだろう。
他のレビュアーも指摘されている通り金融とは本来実体経済を支える黒子であるべき存在である。
そもそも金融業界とはインフラであるわけだから、主役に踊り出るべきではない、というよりは主役になることが許されないものである。
それをこれまで金融こそが世界を支配するという大いなる誤解のもとに支配されてきたことを外野ではなく内部にいた著者のような方が正確に指摘していることこそ本書の価値を引き上げているといえる。
現在の世界経済を簡潔に知りたい方はぜひ一読していただきたい。
またさらに専門的な内容を知りたい方は本書を導入として専門書に入れば良いだろう。