2009年、リーマン生誕150年になるのを記念してなされた、数学者・黒川信重氏と数学者であり解説者の小島寛之氏の熱い対談など、内容全般にわたり、専門家のみならず、リーマン予想に興味を持つすべての数学ファンにとって見逃せない解説・啓蒙書になっています。中でも、リーマン予想を理解するための段階的な分かりやすい解説はたいへんありがたく、現在までにこの問題に対する解決への試みがどのようになされてきたのかが、詳細に理解できる内容になっています。
実際にどのような解決への道筋があるのかということについて、あまりにも有名なこの問題に迫るために、代数全体の圏(カテゴリー)という新しい概念の導入が解説されています。その根幹には、モノイドといわれ実数Rと乗演算だけからなる「F1スキーム」と表現される絶対数学を考えることで、素数全体の空間とゼータの世界の関係を解き明かすことが期待されている、と説明しています。
本書のことを、ナビゲーターであり解説者、しかも数学者でもある小島寛之氏は「高校生でも、プロの数学者でもスリリングな楽しみがある本」と評しています。本当にそうした味わいの深さを感じました。しかも変化に富んだ構成のためなのか、実に分かりやすく、一度にたくさんの数学に接した、という思いに感慨無量です。これから何度も読み返したい。そんな、わくわくする熱い思いに浸ることができた、実にありがたい一冊です。