製薬会社のPR部で、勤続10数年のジョー(ティム・アレン)。真面目ではあるが、社内でも
窓際的な存在と見られ、昇進の見込みも薄い。私生活でも、妻と離婚し、一人娘ナタリー
(ヘイデン・パネティエル)を男手一人で育てている、自他共に認める人生の負け組。ある
日、ジョーは、車の駐車を巡って後輩社員マークと口論になり、挙句、ナタリーの前で、
殴り倒されてしまう。この屈辱的事件をきっかけに、ジョーはマークに決闘を申し込み、
自分を変える努力を始めるが…。
日本では未だに認知度の低いコメディアン、ティム・アレンが、しがないサラリーマンを
演じるライト・コメディ。サラリーマンの哀しさ、侘しさを描くのは、小津作品や「社長」
シリーズのような日本映画の専売特許かと思ったが、どうやら、アメリカのサラリーマン
も事情は同じらしい。いや、それどころか、成果主義で、役職のヒエラルキーが明確な米
国のことだから、日本以上に、米国のサラリーマンは厳しい状況に置かれているのかもし
れない。監督のジョン・パスキンは、決して明るいとはいえない題材を、主人公にやさし
い同情を示しつつ、重くならない演出で描く。何ということのない小品だが(ただし、米国
では人気のアレン、クリスマス公開という期待作)、観終わった後、快い余韻が残る好編だ。
コメディ演技を封印したティム・アレンのしがないサラリーマンぶりもいいが、彼を支え
る女性同僚を演じたジュリー・ボウエンも、飾り気のない美しさを振りまいて、画面に映
える。そして、最高にケッサクなのが、アクション映画俳優崩れの武道道場の先生を演じ
たジム・ベルーシ(スティーブン・セガールを意識しているのだろう)。一見、ズボラで、だ
らしがないように見えて、武道とともに、深い人生哲学をジョーに説くのは、とぼけた演
技が持ち味の彼ならではだろう。
DVDには、未公開シーンなども収録。本編を観た後に楽しめるはずだ。