デ・ステイルのメンバーにして、レッド・アンド・ブルーチェアー、そしてユトレヒトにあるシュレーダー邸で有名なオランダの建築家リートフェルトの作品をほぼ生涯にわたって紹介した作品集。これまでシュレーダー邸のみで語られることの多かったリートフェルトの建築がオランダ国内はもとよりカリブ海のオランダ領まで渉猟してまとめられている。
リートフェルトの研究者である著者(奥佳弥)が長年の蓄積をもとにきっちりまとめた解説は読み応え十分。また、リートフェルト建築の鮮やかな色彩や空間のあり方をやわらかくかつ的確にとらえたキム・ズワルツの写真もすばらしいし、なによりリートフェルトの世界を本の世界に定着させたような紙面デザイン、造本デザインがよい。オブジェとしても手元においておきたくなる一冊。
建築に詳しい友人に聞くと、リートフェルトの作品をここまで一貫してまとめた作品集はヨーロッパにもないそうで、これが世界初だろうとのこと。そんな作品集が、適切な専門家と写真家、そして定評のある出版社によって日本から刊行されたことを喜びたい。TOTO出版の本は、海外の書店でもよく見かけるので、きっとこの本もパリ・ポンピドー・センターやMOMAでも売れているのでは。(ちなみに本書の本文・キャプションとも全て英語・日本語のバイリンガル表記) 即買いして損はないですよ。
※後日の追記 なお、ロンドンのテート・モダン美術館のミュージアムショップでは平積みで売られているのが確認されています。