【本シリーズの特色】
1.日本の社会福祉分野における研究蓄積の中から、重要論稿を精選・収録。
社会福祉分野で初の本格的なリーディングスシリーズの登場。
2.社会福祉のこれまでのあり方を広い視野で捉え直すために、
対象年代は戦後から現代(1945~2008年)までを中心に設定。
3.今後の社会福祉研究を考察するうえで必須となる論文を各編者がテーマごとに選択。
冒頭には各編者による「序論」を附し、テーマに関する概説とともに論文選定のねらいを明示。
各巻ごとに独自の視点で社会福祉の系譜を読み解く。
4.巻末「文献目録」には、収録論文や「序論」で言及した論文、
およびその巻の領域に即した論文を収録し、テーマの全体像を見渡すことが可能。
【監修のことば】
岩田正美(日本女子大学教授)
わが国で社会福祉の研究を志す人々は、年々増えている。同時に、他の学問分野にとっても社会福祉の現実世界は
研究対象としての魅力を増してきているようである。それは、社会福祉が、良くも悪くも、現代社会というものを等
身大で映し出す鏡のようなものであり、その中に矛盾に満ちた現実も、それを突破しようとする希望も、共に見いだ
すことが出来るからではなかろうか。
とはいえ、そうした社会福祉の性格からか、社会福祉研究には、他の分野以上に「流行」に流される傾向があり、
介護に焦点が置かれれば、皆がそちらを向く、といった側面がやや強かったように思う。しかも、その「新しさ」は
、社会問題の趨勢ばかりでなく、国の社会福祉政策の動向に強く影響を受け、その方針に従って、研究の有り様も変
化していくというような面があったことは否めない。また、外国の「新しい理論」に弱い、という特徴も持っている。
このため、新たな政策動向や、諸学国の新しい理論を、いち早くキャッチすることには長けていても、それらの変化
を貫いて見いだされる本質や、日本の特質を、実証と理論の双方から深く掘り下げ、そこから大胆に時代を切り開い
ていくような社会福祉の方向を提示することにおいては、やや問題があった。
本シリーズは、社会福祉の若い研究者たちが、以上のような社会福祉研究分野の弱点を克服していくために、日本
の社会福祉研究の戦後の蓄積を改めて振り返り、それらを系統立って学び直すことをねらいとした。ただし「系統立
って」というのは、必ずしも教科書的な意味ではなく、それぞれの巻で工夫がある。また、この領域設定は、狭義の
福祉よりやや広く他の学問分野からの関心をも吸収するようなものとなっている。社会福祉研究を志す人々が、本シ
リーズを十分活用されることを願っている。