リーダー感覚とは「リーダーをしていることが楽しい」「人を
指導することが楽しい」という感覚のことです。リーダーをやっていて楽しくな
かったら、リーダーになる必要などないでしょう。ですから、これはとても重要
なことなのです。
本書の訓練を実行すれば、読者は人を指導することに喜びを感じられるリー
ダーになれます。私は真の指導力というものは、そういう根源から生まれるもの
だと確信しております。
本書の訓練の中心は「ほめる訓練」です。この訓練方法については、私が自分
自身で試み、またいろいろな人に試していただいておりますから、効果は十分テ
ストずみです。
ところで、私が一見するとやぼったい「ほめる訓練」を選んだのは、三つ理由
があります。
第一は、自然に人を観察するようになるからです。その人のよいところを見つ
けようと、虎視眈々と狙っていくわけですから、いやでも相手に関心を払うよう
になれます。
第二は、相手の気持ちを察する訓練になるからです。ほめるときは、相手に
とって最適な言葉を選ぶ必要がありますから、相手の心を理解するにはとてもよ
い訓練といえるのです。
第三は、共感の意味がわかるからです。ほめ言葉がピッタリであれば、ほめら
れた人は喜んでくれ、こちらとしてもたいへん嬉しく愉快になりますね。つま
り、相手が喜ぶことで、自分も喜びを感じ、共感しあえるのです。
ほめる訓練を行うと、人を指導する喜びを味わえるとともに、人間関係の機微
がよくわかるようになります。リーダーの仕事は人に仕事をしてもらうことです
から、リーダーシップを育てるうえで、この訓練は非常に優れたものといえると
思います。
また、この訓練は「認められたいという人間の潜在欲求」を満たす方法を身に
つけることでもあります。ところが、多くの人は、頭ではわかっていても、なか
なかうまく実践できません。それは実地訓練が不足しているためです。そこで、
あえて「ほめる訓練」という、一見単純で、今さらなんだという感のある訓練を
行う必要があると私は思うわけです。
本書の訓練は、基礎訓練、初等訓練、中等訓練、高等訓練と、段階を踏みなが
ら進んでまいります。最初は比較的易しいのですが、上に行くに従いかなり高度
になりますから、最後は相当奥が深いものです。
本書の訓練法を地道に続けていけば、いつの間にかリーダーとしての行動力が
身についていると、実感できるようになると思います。