著者によれば,リーダーシップとは「人と組織文化に訴えることで機能する柔軟で熱いもの」であり,変革の根源的な原動力となる。予算,統制,人員配置などによって既存のシステムを運営するマネジメントと混同される傾向があるが,まったく別物である。マネジメントは公的組織ルートを通じて実行されるのに対し,リーダーシップは非公式の人的ネットワークを構築して組織に働きかける。したがってその発揮のためには,人を心底から動かすための力をいかにして獲得し効果的に行使するかが,本質的に重要な課題となる。
著者は,ハーバード・ビジネス・スクールの教授。1000回以上のインタビューを含む企業調査で収集した事例を整理し,具体的な方法を述べている。人々の信頼をかち取る正攻法のほかに,恩を売り,懐柔し,反対に回りそうな人には花をもたせてとり込む,時にマキャベリスティックにさえ見える術策も取り上げる。個人単位で仕事に取り組むアメリカのビジネスマンにとって,これは日本以上にリアルな現実なのだろう。
変革に着手したら,みなが究極の成功を確信できるような証拠を早いうちに見せつけよ,などというアドバイスは,アメリカならではのものであり,日本の場合の時間的視野は少し長いと思う。ビジネス風土の違いは念頭においておく必要があるが,この問題を真剣に考えている企業人には,学ぶところが多い本であろう。
ハーバード・ビジネス・レビュー誌に著者が寄稿した6つの独立の論文に書き下ろしの序章がついており,そのため一冊の本としては各章の連携にやや問題があるが,内容は豊富で,アメリカ企業経営の内側からのレポートとしても面白く読める。訳文もこなれている。 (財団法人 産業研究所 国際経済研究センター 所長 松本 厚治)
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7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
マネージャーの行動分析論として実際的な視点,
By omr (東京都大田区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: リーダーシップ論―いま何をすべきか (ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス経営論集) (単行本)
組織を上手く機能させることが目的のマネジメントに対比させ、組織に変化をもたらすリーダーシップの必要性・重要性を強調。変革プロセスは1危機感の醸成2変革ブロセス主導のチーム編成3ビジョン構築4ビジョン伝達5社員の行動を支えるエンパワーメント実施6成果を上げること7より困難な課題への挑戦8新しい行動様式を組織文化の一部として根づかせる、とそのステップが説かれます。一般論であり、やり方やそれぞれの強弱は個別の事例によるのでしょうが、何れにしろ組織改革を志す際のひとつのフレームワークにはなりそうです。面白かったのは、人を動かすパワーの分析(第二章)。内容は、1マネージャーには様々な依存関係があり、公式的な組織やネットワークだけで仕事をしてはいない2そのパワーには恩義を感じさせること・経験や知識・マネージャーとの一体感等があり3影響の行使の仕方には直接的・間接的な(状況に応じた効果的な)やり方がある(公式的・直接的な影響の与え方は反発を招く)4長期的な影響の維持にはインセンティブを与える環境を変えること。このパワーの行使についての分析は実際的な示唆に富んでいると思います。 また、上司をマネジメントする(第三章)、つまり1上司の目標・プレッシャー・強み・弱み・仕事のスタイル・情報収集の仕方(聞き手か読み手か)を知り2こうしたことを認識した上で上司に接する3上司が何を求めているかを知ること、このことは意外とないがしろにされがち。第六章のマネージャーの行動分析は、一見散漫に見えるマネジメントの活動が、1検討課題の設定2ネットワーク構築3課題に対するネットワークの利用、に分類されるというもの。突然の一見不可解なマネジメントの発言や行動に洞察が生まれます。
15 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
企業変革、リーダーシップに関する最高の本の1つ,
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レビュー対象商品: リーダーシップ論―いま何をすべきか (ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス経営論集) (単行本)
企業変革、リーダーシップ論が凝縮されており、バイブル的な存在だと思う。私はある外資系企業において企業変革のリーダーを補佐する立場を経験したことがある。本書の内容は、その経験上、納得できる内容が非常に多く凝縮されている。著者の調査研究の濃さが感じられる。 特に「企業変革の8つのステップ」は当たり前のように感じるが、全くの同感である。過去の反省と頭の整理にもなった。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
人との対話の重要性,
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レビュー対象商品: リーダーシップ論―いま何をすべきか (ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス経営論集) (単行本)
コッターは他の著書の中で、多くの企業が変革に失敗するのは、「効果的な行動を動機づけるフィーリング(感情)」に焦点を当てたクリエイティブな手法を取り入れずに、「情報収集、分析、報告書の作成、プレゼンテーション」にあまりにも執着しすぎているため、と指摘していましたが、この本では、人との対話の重要視したリーダシップ論を精緻に展開しています、リーダーシップとマネジメントの違いを分かりやすく説明してくれており、またリーダーシップの最大の発揮しどころとなる組織変革についても触れられています。会社組織のリーダーやマネージャーだけではなく、社会という集団で生活している人すべてにヒントを提供してくれる良書です。
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