この著者による「リーダー論」だから、当然、オーソドックスな論だけが展開されるわけではなく、ひとひねりふたひねりした逆説的なコンセプトもまぶされており、そのバランスのよさで何度も膝を叩きましたし、同時に過去を思い出して自分がどうであったかもついつい検証させられて冷や汗をかきます。
逆説的なほうの例を出せば、「自分を指名をするお客を部下に譲っていく」というようなものです。一番、上が固執してしまいがちなところだからこそ、ということなのでしょう。逆説性はないけれど、リーダーの発言は「一回一分以内」というのも、うならされます。
その他数々の「マジック」がさまざまなシチュエーションや条件下のものとして展開されていくのですが、ユニークだった例題は、元ヤクルト時代の野村監督と古田の配球をめぐる問答。野村監督のパーソナリティーをある程度は知っているつもりだったのですが、それでもまさに「なるほど」と思わせられる。
あらゆる社会的な事例を研究ターゲットとして取り上げる姿勢自体に、中谷節の鋭さと射程距離を感じさせられます。
業種によっては三十前後でプチ・リーダーになるケースもよくあるので、そうした層が一読するには、くだけたよい事例集・研究書ですね。読ませたい人の顔が何人も浮かんだ次第です。