細かいところでキャラクターたちの特性を生かしたさりげない演出があったり、ラストに至る複線も目立ちすぎない程度の仕込みになっていたり、ある意味控えめな部分に好感が持てる映画だった。ストーリーも良くできていて、笑わせるところは笑わせ、泣かせるところは泣かせる職人技的な良さがあったと思う。
ただし、オリジナルのキャラクターに馴染みがないと感情移入しづらいのではないかとも思った。キャラクターたちの背景を知らずに、この映画だけ見て笑ったり泣いたりできるのか疑問なシーンもある。特にアラン・クォーターメインの息子に対する感情は原作を知らないと伝わりにくいのではないだろうか。
また、Mの正体が原作コミックとは違っていてニヤリとさせられる仕掛けになっているのだが、これも原作を知らなければそこまで。
それぞれのキャラクターたちが登場する「古典」も日本では広く親しまれているとは言えず、アラン・クォーターメインものに至っては全作が翻訳されている訳でもないので、予備知識を持っている人の方がどうしても少数派になってしまうから、日本の観客にこれを100%楽しめというのは元々無理な話。そういう最初から不利な条件が重なっているにもかかわらず、日本公開ができたということは、「元ネタ」に頼らない独自の面白さを十分に持っているということでもあるのだろうが・・・。
これからDVDで見る人は、個々のキャラクターの物語を予習してから見るとかなり楽しめるはずだが、そうまでしてまで見なければならない映画かと言われると微妙(笑)。