佐藤薫率いるEP-4が83年に日本コロムビアから発表したオリジナル・アルバムが、ついに佐藤氏自身の監修の元、正式にリイシューされました。しかも、83年5月21日(EP-4 5・21のステッカーも話題になりました)にインディーから同時リリースされる予定だった(ものの、メジャー盤『昭和大赦』の方だけが延期に)『リンガフランカX』を合わせた2枚組仕様で、言わば28年目にしてようやく“一緒になった”画期的な再発というわけです。もちろん、いずれも最新リマスタリング済みなので、音の良さは数年前に佐藤氏の預かり知らぬところでリイシューされた再発盤とは段違い。アートワークも藤原新也氏による最新フォトが使用され、当時と変わらぬエッジーさを感じさせる装丁となっているのも嬉しいところです。
サウンド面においては、正直なところシンセサイザーのアレンジが少々古臭いなと思う瞬間もあるし、音の処理もちょっとクリア過ぎるように感じられ、演奏も含めた先鋭性は『Multilevel Holarchy』の方にあるように思います。ですが、80年代前半にこういうエレクトロ・ファンクな音楽が日本の、それも京都で鳴らされていた事実は今もってしても特筆すべきことですし、バンドとしてこなれてきて、さらにある程度のポップさを加えての完成度の高さという点ではこちらに軍配があがりそうです。ちなみに、佐藤薫氏が京都出身と思い込んでいる人もいるようですが、決してそうではありません。
解説に関しましては、佐々木敦氏の文章は思い入れが少々薄いような、やや淡白な印象も受けますし(今の氏の興味とはジャストではないでしょうし)、これならどなたか他の方によるもっと音楽的な解説があるとバランスも良かったように思いましたが、例えばタコのリイシュー盤につけられていた、昔の人脈によるノスタルジックな文章の羅列よりはずっと意味のあるものだと感じました。初期メンバーの鈴木創士氏の寄稿は…まあ、リイシューに際してのボーナス・トラックのようなもので、僕のような古くからのファンには嬉しいと思います。