「リ・ポジショニングの成功は、外に向かって考えることに始まる。市場は外にあるからだ」。
著者は、「ポジショニング」というマーケティング上のコンセプトをビジネスの世界で普及させた立役者の一人。本書は、グローバル市場であらゆる企業がしのぎを削るようになった昨今の情勢を踏まえ、ポジショニング理論の説明時にも紹介されていたという「リ・ポジショニング」の方に焦点を当てている。両者の違いは、以下の通り。
ポジショニング:潜在顧客の脳の中にあるあなたのイメージを他と差別化すること
リ・ポジショニング:あなたがあなた自身やライバルに対して抱いている認識を少しずつ改めてゆくこと
また、リポジショニング戦略を考える際にポイントになるのは
1.競争
2.変化
3.危機
の3つの視点であり、実際この順番で3部構成に分けた説明が行われている。そして、第4部ではリポジショニングの技として、実際の立案から適用についての要点について述べている。
コンサルタントとして多くの企業にアドバイスをしてきた経験と事例があちこちに含まれている部分は、結構面白い。「あなたにだってできる値引きはライバルにもできる」という言い方で、安易な価格での差別化戦略に警鐘を鳴らしているのも特徴といえる。また、「最も強力なブランドはひとつの言葉、ひとつの概念に結びついている」というような、顧客に対するブランドイメージの確立とその利用についての解説は、本書おいてもっとも重要な部分になっている。逆に、元々強力なイメージを持つブランドに対して、後づけで多用な商品をぶら下げた場合の失敗例も示している。
率直に述べて、驚くような斬新なことが書かれているわけではない。また、日本の市場では少し事情が異なる部分もあるように思われる。しかし、具体例が多くて分かりやすく、啓示に富む内容ではある。分量も多くなく、難易度も高くない。マーケティングについて関心を持っている方にとっては、ポジショニング理論を補完する意味で一読の価値はあると思われる。