SF短編4本を収録
小松左京賞でデビューした関係か、ハヤカワJA文庫に初登場
「リリエンタールの末裔」
『華竜の宮』と同じ世界を舞台にした作品
主人公の一族は背中に鉤腕を持つ一族
彼らはそれを利用し、体重の軽い少年期に植物で作った翼を用い空を飛ぶ遊びに興じる
主人公は成長し空を飛べなくなるが、その体験を忘れられずにいる
都市部に出稼ぎに来た主人公は格差や差別にさらされながらも、空を飛ぶ夢を追い続ける
中盤は重苦しい雰囲気ですが、ラストは爽やかでした
(ただし、その後に待ち受けている主人公の運命は相当過酷なものになるのかも・・・)
海洋SFを多く書いている著者ですが、今回は「空」でした
ちなみに、リリエンタールとは実在の人物で航空パイオニアの1人とのことです
「マグネフィオ」
昏睡状態の夫の内面を装置を用い視覚化しようとする女性とその女性に報われない想いを寄せている男性の話
特定のトリガーにより特定の触覚や視覚が鮮明に思い出される技術に話は着地する
香水(嗅覚)を題材にし、失踪した妻の思い出に浸る男性を描いた『美月の残香』は幻想的なミステリーでしたが、本著はその作品をSF的に仕立て直した感じでした
「ナイト・ブルーの記録」
既読の為、省略
「幻のクロノメーター」
18世紀のロンドンを舞台にした作品
航海用の高精度な時計開発の様子を描く
実在の時計職人ジョン・ハリソン 等が登場し、伝記的な要素も
SF的な仕掛けももちろん用意されています