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Victorの録音は,奏者の振る舞いなど,演奏の佇まいを余すことなく収録していたが,DECCAではギターの音そのものに焦点を当てた録音。これはこれで技巧的側面が強調されて説得力があったが,彼女の持ち味である繊細さ,流麗さなどとトレードオフになっていたように思う。
対して,今作は同様の路線ではあるものの,ホールトーンを豊かに収めており,前作とは違った感触に仕上がっている。レコーディングクルーが替わったのかと思ったが,ほぼ同じという点は,いろいろな意味で興味深い。
録音状態は,さすがに良い。たおやかで美しいホールの残響に包まれて,ステレオ感豊かに展開するオーソドックスなパターン。曲によってマイクアレンジや編集が多少変化しているようだが,基本的な傾向は同一。低域弦とボディの共振や,高域の繊細な響きの減衰まで捉えている。なお,録音レベルがやや高めのせいか,ノイズレベルも若干高めで,ダイナミックレンジ,アタック感は標準的。
難点を挙げるとすれば,二重録音されている3曲だろうか。僅かではあるが,それとはっきり分かるほど超高域が減衰しており,艶やかさが失われている。
ところで,Victorから出ているアルバムで20bit K2xrcd2版「Pastorale」などをお持ちの方は,聴き比べてみると面白い。精神的,技術的な点において両社の違いが浮き彫りになる。
どこかで聴いたことのある曲も、ギター1本でこれほどまでに表現できるのか!という印象。
それにしてもどこまで進化するのか。技術と音のすばらしさには感動する。
上記で、みずみずしく軽やかな印象と書いたが、「サウダージNo3」はそれ
とは別。このアルバムの中でも特に印象深い曲となっている。
いずれにしても、これから聴き込むごとに新たな発見があるアルバムだと
思う。
聴き込むことで、第一印象で感じたものも変わってくるかもしれない。
じっくり楽しむ余地あり。期待度高し。ということで、☆5です。
余談ですが、初回版についてくる写真集もとても表情が自然でよいと思う。
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