いつもなら一癖あるエンターテイメントばかりを専攻しているけど、何故かミュージカル映画『シカゴ』にはまってしまった…。そんなアナタ(?)にぜひおすすめしたい本が、この『リメイク』であります。この本を書いたSF作家コニー・ウィリスさんは、ちょっと前に話題になった『航路』の作者としてもおなじみ(今をときめく宮部みゆきさんも推薦していましたね!)。本書のあらすじとしては、ずばり「ミュージカルSF」とでも言えばよいのでしょうか。舞台は、すっかり生身の俳優を使わずとも映画を「リメイク」できるようになったハリウッド。つまり、コンピューター技術のおかげで、松田優作主演の「マトリックス」なんて作れてしまう…というか、そのようなリメイク映画しか生産されないような世の中です。そんなハリウッドで、ヒロインの女の子は往年のミュージカル映画にあこがれるわけです。生身で映画に出演したくて仕方がない。「そんなことできるわけないじゃん」とたしなめるのが、本書の主人公の男の子。この主人公というのが、コンピューターを使って「映画をリメイクする未来の映画技術者」という設定です。そんなある日、ヒロインの女の子が実際に映画の中に入りこんでいるのを目にする主人公! ありえない!何でだろう~!? そんな「ありえないはずの出来事がなんで起こってしまったのか?」という謎を軸に、物語は展開していきます。例えればウッディ・アレンの映画「カイロの紫のバラ」をひっくりかえしたかのような、淡いラブストーリーが展開されて、ほのかに切ない読後感が楽しめる逸品であります。並の作家なら、短編に収まってしまうようなワン・アイデアを、一晩はじっくりとはまりこめるようなバーチャル・ロマンスに仕上げてしまう…。そんなコニー・ウィリスさんの職人技『航路の紫のバラ』(?)を、骨の髄まで楽しみましょう~!