劇場公開後1年になりますが、やっとDVDが発売になりますね。いや、めでたい。(笑)
はっきり言ってよくわからない映画です。だからといって、難しい映画でもない。実験映画的であり、芸術映画でもある。それでも、娯楽映画であることを貫いてはいる。私は、大好きです。
以下、気づいたことを断片的にダラダラと連ねます。(笑)
主役の「孤独な男」(イザック・ド・バンコレ)は、ジム・ジャームッシュの、ちょうど10年前の映画「ゴースト・ドッグ」で、フォレスト・ウィッテカーが演じた「葉隠」の世界を体現するストイックな殺し屋にも通じる。
撮影はクリストファー・ドイル。美しい風景の連続から近未来的な浮遊感。音楽は、日本のロックバンド、Borisが担当。そのサイケデリックでノイジーながらソリッドな音が効果的にというかアクセントになっている。
「宇宙には中心も端もない」という映画冒頭のセリフと同じことを、工藤夕貴演じる「分子」 も言う。彼女の登場するシチュエーションが89年(20年前!!)の「ミステリー・トレイン」を連想させる。
「孤独な男」が見ている世界は、夢想の世界なのか? それを示唆するために、そういうシーンは、ちょっとスロー画面になっている?
彼の「こだわり」が面白い。携帯を嫌い(「ゴースト・ドッグ」では通信手段は伝書鳩だった)。エスプレッソを必ず2杯一緒に注文する。
殺しの任務中はセックスしない。毎朝、太極拳をする。朝食は洋ナシだけ、等々。
ジョン・ハート演じる「ギター」が、「ボヘミアン」と繋がる『フィンランド映画』にいいのがあったと言う。これは、アキ・カウリスマキの「ラヴィ・ド・ボエーム」のことでしょう。
「ダイヤモンドは女の友達」は、「紳士は金髪がお好き」で、マリリン・モンローが歌う超有名曲。そういえば、「ムーラン・ルージュ」でニコール・キッドマンも歌ってた。確かに、女はダイヤモンドが好きだ。(苦笑)
厳重警戒された要塞のような建物の中に、殺しのターゲット「自分だけが偉大だと思っているアメリカ人」がいるわけだが、「孤独な男」は、あっさりターゲットの部屋にたどり着く。そのビル・マーレイ演じるアメリカ人が「どうやって入ったんだ」と訊くとと、「想像力でさ」と答える。(笑) 86年の「ダウンバイ・ロー」でも脱獄者の話なのに、脱獄シーンを描かないという離れ業(?)をやってたな。
「人生は何の価値もない」という言葉が何度も出てくるけれど、「運転手」のトラックの後ろにもその文字が書かれていた。
最後に、「孤独な男」が美術館で観ているキャンバスにシーツを貼り付けたような作品は、スペインの現代芸術家アントニ・タピエスの作品でしょう。
やっぱり「人生は何の価値もない」という言葉に対応しているのか? ある意味、何色にもできるとの示唆か?