東日本大震災で被災された方々のために、小曽根真が世界の友人に呼びかけ、実現した奇跡的なレコーディングと言えるでしょう。
もし視聴ができるようでしたら、1曲目の「ブルー・ボッサ」、6曲目の「サマータイム」、そして9曲目の「ふるさと」を聴いていただけるとその強い思いと素晴らしい演奏を実感していただけるのですが。
1曲目の「ブルー・ボッサ」は、チック・コリアと小曽根真の2つのピアノとゲイリー・バートンのヴィブラフォーンというまずあり得ないビッグな組み合わせと編成で演奏したわけで、それだけでも話題になるでしょう。
ジャズってまさしく瞬間芸術だと直感できるような演奏でした。お互いの演奏に呼応して、当意即妙ともいえるインプロヴィゼーションの応酬が心地よく響きます。緊張感が連続して続くような雰囲気が漂い、超一流のミュージシャンの凄みが如実に伝わるでしょう。このビッグネームを隠して聴いたとしても「只者ではない」感覚は分かるはずです。
同じメンバーにチック・コリアの奥さんのゲイル・モラン・コリアのヴォーカルをフューチャーした6曲目の「サマータイム」の演奏もとてつもなく素晴らしいでした。他では絶対に聴くことができない質の高さが伝わります。躍動感のある音楽なのに寂寥感が漂うわけで、この混然一体となった不思議な演奏の魅力の虜になりました。これぞまさしくジャズでしょう。ゲイル・モラン・コリアのヴォーカル、いいものを聞かせてもらいました。
ポーランドの歌姫アナ・マリア・ヨペックが歌う「クヤヴィアク」の癒し系の歌唱も魅力的で、小曽根真の美しいピアノが感傷的でかつ抒情的でした。
ジェイク・シマブクロの「ヴァリエーションズ・オン・ア・ダンス」も良い演奏だと思いました。ウクレレとピアノだけでこれだけ豊かでダイナミックな音楽を創り上げたことに拍手。
ランディ・ブレッカー、パキート・デリヴェラなどの参加もあり、素晴らしいアルバムになりました。
ラストの「ふるさと」は奥さんである女優の神野三鈴のヴォーカルでした。最初の独唱も実に可愛く、ホッとして聴いている内に、小曽根真の実に美しいピアノが寄り添うように入ってきました。「ふるさと」の歌詞って日本人の心の歌なのでしょうか、透明で真っ直ぐな歌唱を聴いている内に涙がこぼれてきました。