FRBのバーナンキ理事はプリンストン大学で教鞭をとったTopマクロ経済理論家であると同時に,それを援用し大恐慌研究にあらたな知見をもたらした研究者である.実務・理論・歴史の三拍子そろった氏の金融政策に関する考え方を知る上で本書は格好の入門書となっている.本書は氏の5つの講演を中心に構成されているが,そのいづれからも浮かび上がってくるのは,金融政策(ひいてはそれを行う中央銀行)の重要性の認識とデフレへと闘うという確固たる信念である.現代日本では,中央銀行に「できることはない」「たいして経済に影響を与えない」といった見解が示されることがあるが……それが明確に誤りであることを知るためにぜひ一読いただきたい.また,同書には訳者である高橋洋一氏の解説が添えられているが,こちらもリフレ政策の根拠とFAQがまとめられており議論の整理に有用であると考えられる.