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リヒテルと私   河島みどり 著
 
 

リヒテルと私 河島みどり 著 [単行本]

河島 みどり
5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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神秘的なヴェールに包まれてきた、20世紀を代表するロシアの大ピアニスト、スヴャトスラフ・リヒテル(1915-1997)。その通訳、親しい友人として、25年以上にもわたり巨匠の近くで素顔を見つめ続けてきた筆者による、興味の尽きないエピソード集。

たとえば、1981年からプーシキン美術館で始められたリヒテル主宰の音楽祭「12月の夕べ」に居合わせた著者による雰囲気の描写は非常におもしろい。リヒテルは室内楽やリートのコンサートであっても、会場のすべてを演出しようとする。コーカサス風の小刀で楽譜の封を切って空けてピアノを弾き出したり、休憩時間にはスタッフに「19世紀的な雰囲気をもって動作も会話も優雅に」するよう指示をしたり、会場中にゲランの香水ミツコを振りかけ、舞台上にはたくさんの蝋燭の灯りをつけさせたり…。

また、リヒテルの好きな男優は、無声映画のころの『ファウスト』のメフィストフェレスを演じたエミール・ヤニングス、トーキーになってからはジェラール・フィリップとブルース・リー(!)なのだという。リヒテルによればブルース・リーの肉体は芸術であり、ジャッキー・チェンの映画を絶対に観ない理由は「ブルース・リーへの冒涜になるから」というから笑える。女優ではマリア・カザレス、マレーネ・ディートリッヒ、アンナ・マニャーニ、イングリッド・バーグマン、ロミー・シュナイダーが好きだという。

こんな、思いもよらぬエピソードが満載なのだから、リヒテルの意外な素顔に読者はすっかり魅了されることになる。そして、夢中になって読み進めていくうちに、天真爛漫で何物にも縛られない自由な一人の人間リヒテルの日常生活のささいなディテールから、偉大な芸術の秘密と啓示を受け取るに違いない。(林田直樹)

内容(「BOOK」データベースより)

リヒテル―それはまがうことなき芸術家だった!リヒテルの通訳として27年間常に巨匠の身近にあった著者が遂にその優れた音楽性の秘密を捉えた異色の芸術論。

登録情報

  • 単行本: 254ページ
  • 出版社: 草思社 (2003/9/20)
  • ISBN-10: 4794212488
  • ISBN-13: 978-4794212481
  • 発売日: 2003/9/20
  • 商品の寸法: 19 x 13.4 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 巨匠も一人の人間だった, 2007/1/9
By 
レビュー対象商品: リヒテルと私 河島みどり 著 (単行本)
河島みどりさん(通訳として付き合い始め、付き人として世界各地の公演旅行を一緒に回った)とリヒテルの、27年間に渡る交流の中からのエピソード集。
気難しいと言われた巨匠に、「かわいさ」を感じた時から、二人と巨匠を取り巻く仲間達との交流が始まった。
巨匠の隠れた、少年のような純真さ、直観力・記憶力、事物の全体構成をつかむ能力・土地感覚のすごさ、音楽に対する真摯な態度と洒落た会場作りの工夫、演奏会前の恐怖、日本を敬愛した様子等々・・・。一般人には知りえない数々の事柄を、彼を暖かく包むユーモアあふれる文章で綴り、巨匠の人間味を良くも悪くも赤裸々に表している。

この本を読んでから、リヒテルの演奏に一層の暖かさを感じるようになった。
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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 おいしかった1册, 2004/9/4
レビュー対象商品: リヒテルと私 河島みどり 著 (単行本)
 何かに対して、とてつもなく秀でている人、すなわち「天才」は、概して、それ以外のことには無頓着なものである。
 特に、日常のあれこれに関しては。

 例えば、某世界的建築家の奥様によると、某建築家は、在宅していても、コップ一つさえ、どこに置いてあるか、わからないのだとか。

 この本を私は、マエストロ、リヒテルの(従者による、ある時期の)貴重な日記として読んだ。むしろ、音楽性に関して、あまり触れていないのが良かったと思う。

 日記にはいろいろな書き方があるだろうが、「ある日(朝、昼、夜)、どういう食事をしたのか」は、武田百合子『富士日記』の例があるように、いい切り口の一つだ。

 あれほど、いつも苦虫を噛み潰しているような顔をしていた天才的ピアニストが、果物を含めたデザートにとても詳しく大好きだったり(要は甘党ということだ)、自分をよく知り安心できる人が、常に脇に付いていないと、移動や食事さえも、ままならなかったりする。

 そういうアンバランスさを、ついつい、「ほほえましい」「構ってあげたい」「あなたは、そのままでいいの。本業に没頭して頂戴!」と、思わずエールを送りたくなってしまったのは、著者も同様だったようである。

 リヒテルが好んだデザートを、ぜひ食べたくなった。

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11 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 読んでも良いかも知れない、巨匠の回想記(^^), 2003/10/21
By カスタマー
レビュー対象商品: リヒテルと私 河島みどり 著 (単行本)
kewpieさんのご意見ごもっともだと思います。

ある人物に対する回顧録がどれだけ読者に受け入れられるかは、
その人物像が読者のイメージするものとの乖離の度合いでしょう。

私の場合はあまり違和感はありませんでした。

また、本書はリヒテルの日常生活についての逸話が多く、
音楽的なことはあまりかかれていません。

この点から著者がリヒテルとある一定の距離を置くことの出来る人だというのも読みとれます。
何と申しますか、割と客観的で、そのことに好感を持ちました。

とはいえ、上記のような理由により感想は人それぞれだと思いますので、
参考になれば幸いです。

あまり難しいことが言えず申し訳ないです。

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