IT化が急速に進む社会で、リナックスに代表されるオープンソースの思想を軸に、どんな変化が起きているか、ポスト資本主義の精神を分析する。終身雇用、大企業の神話が崩れた社会では、自分が何のために働き、何のためにお金を得て、何のために生きるべきかという新しい哲学が必要とされている。ハッカーたちが社会に挑戦する動機として、何かを新たに作りだすことや、それがもたらす結果を楽しむためなどがある。本書では、常に時代の基盤となるテクノロジーを生みだしてきたハッカーたちのこういった視点や倫理観のなかに、新しい時代にふさわしい新しい哲学を求めている。
速くて大きな変化に満ちた情報化社会のなかで、どのようにして新しい枠組みを作っていくか、そしてその新しい枠組みのなかでどうやって生きていくかを考えるための1冊。(近藤大介)
組織の力に頼ることなく、「個」で勝負する時代。問題は、従来の価値観の中で競うことではなく、21世紀という時代を生きるスピードだ。常識にとらわれない新しい価値観やアイディアを、素早く実現できるのか。変化に迅速に対応できるのか。
それを、軽々とやってのけているのが、ハッカーたちだ。
10年前、ひとりの学生(であり、バリバリのハッカー)の発想から生まれたオープンソース・フリーソフトウエアの リナックス。今、新たなビジネスモデルとして世界中から注目されている。
この本の中で、創始者リーナス・トーヴァルズはこう語る。
「楽しくなくちゃ、仕事じゃない。真剣に遊ぶ、これがいいんだ」
ハッカー=リナックスに代表される、ネット社会の仕事とお金の新しい哲学が必要だ。
もちろん、誰もが気づいている。終身雇用が崩れ、大企業が崩れ、自分が何のために働き、何のためにお金を得て、何のために生きるべきかを考える時がきている、と。
著者のヒマネンは、インターネットとウエッブ(併せてネットと呼ぼう)が基盤となっているこれからの社会で、「ハッカー」とは、情報を皆がシェアすることがポジティブなことであり、オープンソースのプログラムを発展させることこそが命題と考えその義務を果たす人のこと、と定義し、さらにコンピュータに限らず何かに熱中することができる人こそ、ハッカーと呼ぶにふさわしい、としている。
この定義をもっと拡大解釈すると、何が見えてくるだろうか。ハッカーたちの挑戦は何を意味するのだろうか? ハッカーの論理でこの情報化社会を見ると、労働に対する新しい倫理観が見えてくる――いわば、マックス・ウェーバーの『プロティスタンティズムの倫理と資本主義の精神』に対する21世紀の『ハッカーの倫理とポスト資本主義の精神』が見えてくる。
ハッカーたちの社会に対する挑戦は、仕事に対する価値観の他に、お金に対する倫理観もある。ハッカーたちが活動する動機は、必ずしもお金ためだけではない。何かを創りだすこと、それがもたらす楽しみのため、などがある。もうひとつは、ネットで自由に表現をすること=すべてのネットへの自由なアクセス――ネシック(ネット倫理、とでも呼ぼう)にある。この3つ――労働に対する価値観、金銭に対する価値観、ネットの倫理――が、本書の3つの大きなテーマである。
この本は、リーヌスの友人でもあり、20歳の若さでヘルシンキ大学哲学博士号をとり、現在、28歳にしてカリフォルニア大学バークレー校の客員教授であるペッカ・ヒマネンと、全米の情報社会学の重鎮、マニュエル・カステル、そしてリーナスの3人が、1998年同校のシンポジウムでこのテーマについて意気投合し、始まった企画だ。論理は明快で、その姿勢は、ポジディブ。まさに、ネット・エイジのバイブル的書物である。
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8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
めざせハッカー,
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レビュー対象商品: リナックスの革命 ― ハッカー倫理とネット社会の精神 (単行本)
仕事に対して惰性で動く日々に感じていた疑問に対する明確な回答をもらったように感じました。 Linuxは、仕事と娯楽の境界を取り除いた環境から産まれました。 この本は、金銭至上主義の現代の資本主義を、その成り立ちから解説 ハッカーの行動倫理という切り口で、社会学から人生観まで届く深い 私は、この本を読み終わった翌日に、退職願を提出しました。
6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
ハッカー倫理とプロテスタント倫理,
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レビュー対象商品: リナックスの革命 ― ハッカー倫理とネット社会の精神 (単行本)
「労働は美徳である」というプロテスタント倫理と「楽しむために生きる」というハッカー倫理の対比が非常に興味深かった。巷の自己啓発本に違和感を覚えた人はこれを読めば、自分の価値観を後押ししてくれることだろう。「好きだから(仕事)やってんだ」ってね。 私は残業・休出がずっと続き、仕事に対する意欲がなくなった時に、これを読み、自分の働く意味を見つめなおしました。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ウェーバーとともにこの本も読まれるべき,
By 80年代子どもの世界 (千葉県千葉市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: リナックスの革命 ― ハッカー倫理とネット社会の精神 (単行本)
必要に迫られて読んだのだが、
これはコンピュータとかネットワーク情報に関心のある人だけでなく、 現代に生きる全ての人が読むべき本だと思った。 著者ペッカ・ヒマネンはフィンランドの哲学者で、 ハッカー倫理の意義を、プロテスタンティズムの倫理(とそれに連なる自己啓発本) との対比によって浮き彫りにしている。 それはアカデメイアと修道院との対比である。 彫りの深い考察とはこういうものだ。 アカデメイアに生きるか、修道院に生きるか、どちらが幸せか、考えてしまう。 日曜日と金曜日の比喩も、とても面白い。ユーモアもある第一級の書物。
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