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リトル・ピープルの時代 [単行本]

宇野 常寛
5つ星のうち 3.4  レビューをすべて見る (28件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

私たちは誰もが 「小さな父」(リトル・ピープル)である。
この世界は終わらないし、世界の〈外部〉も存在しない。しかし、それは想像力が働く余地が世界から消えたことを意味しない。私たちは〈いま、ここ〉に留まったまま、世界を掘り下げ、どこまでも潜り、そして多重化し、拡大することができる。そうすることで、世界を変えていくことができる。リトル・ピープルの時代――それは、革命ではなくハッキングすることで世界を変化させていく<拡張現実の時代>である。
<虚構の時代>から<拡張現実の時代>へ。震災後の想像力はこの本からはじまる。

内容(「BOOK」データベースより)

この世界は終わらないし、世界の“外部”も存在しない。しかし、それは想像力が働く余地が世界から消えたことを意味しない。私たちは“いま、ここ”に留まったまま、世界を掘り下げ、どこまでも潜り、そして多重化し、拡大することができる。そうすることで、世界を変えていくことができる。リトル・ピープルの時代―それは、革命ではなくハッキングすることで世界を変化させていく“拡張現実の時代”である。“虚構の時代”から“拡張現実の時代”へ。震災後の想像力はこの本からはじまる。

登録情報

  • 単行本: 509ページ
  • 出版社: 幻冬舎 (2011/7/28)
  • ISBN-10: 4344020243
  • ISBN-13: 978-4344020245
  • 発売日: 2011/7/28
  • 商品パッケージの寸法: 18.8 x 13 x 3.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.4  レビューをすべて見る (28件のカスタマーレビュー)
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29 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 本書は村上春樹、仮面ライダー、ウルトラマン等々のサブカルチャーに仮託してゼロ年代の集合的無意識を読み解こうとするもので、その手法自体はオーソドックスである。

 しかし、肝心の内容が作品論に偏りすぎ、作品を読んだ(観た)ことがないと文脈がよくわからないものになっている(そりゃそうかもしれないが、村上春樹自体は素材にすぎないのならばもうちょっと親切な誘導もあっていいだろうと思う。)。
 
 さて本書でいう「リトル・ピープル」とは、ジョージ・オーウェルの『1984年』に登場する「ビッグ・ブラザー」と対比させて語られる概念だ。周知のとおり、「ビッグ・ブラザー」は、スターリン時代のソヴィエトを連想させるような、絶対権力としての支配・監視の主体のイメージである。「ビッグ・ブラザー」はまた、60年代の抵抗運動がその闘争のターゲットとして見いだしたような象徴的な仮想敵でもあり、その闘争の枠組自体が「大きな物語」としてこれまで消費されてきた数々の小説、漫画、映画にプロットの祖型を提供してきた。

 これに対して「リトル・ピープル」とは、ティム・オブライエンの小説『世界の全ての七月』のある章のタイトルから採られたキーワードだそうで、ここに仮託されて語られるのは、「大きな物語」が喪われた時代(全く俗流的にいえば「冷戦後の時代」)に、方向性を失った人々の無秩序なモーメントである。それ自体は全く「悪」のイメージを持たないが、例えばそれが暴走することでオウム真理教事件のような惨事ももたらされる存在として語られる(個人的にはこのあたりの議論はやや雑だと思う。少なくとも、ただの小さな個人がオウム真理教レベルの悲劇に接続されるためには、「大きな物語」を再度希求するという内的動機と、代替的な物語を語る(リトル・ピープルでない)教祖という触媒が必要だと思うから。)

 詰まるところ、本書は、ゼロ年代の社会を、サブカルチャーを通じて読み解くための補助線として、「ビッグ・ブラザー」と対置される「リトル・ピープル」という概念を導入した。その野心的な試み自体は評価されてよいと思う。ただ、議論自体がいささか雑なので、著者自身、あるいは別の論者が、この補助線を使ってより刺激的な批評を提供してくれるのを待ちたい。
このレビューは参考になりましたか?
296 人中、206人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
本書は東日本大震災を経て改めて露わになった、かつてとは状況が変わってしまった現代社会が、我々の想像力にどのような影響を与えているのか、文化批評の立場からまとめたものです。

村上春樹のエルサレム賞でのスピーチを手がかりに、「壁=システム」と「卵=我々」という単純な対立項は、現代においてなりたたず、我々の生活に入り込み絶えず更新していくような渾然一体と化したシステムのあり方をリトル・ピープルと呼びその有り様を様々な媒体の表現の中から探っていきます。

このように要約すると、理解できるのですが、しかし内実はあまりにもおおざっぱで、本当にそうなのか? と疑問に思いながら読み進める内、また疑問が生まれと、論旨は追うことができるのですが、いちいち納得できないので、結局読んだ意味があったのか、と思い返さずにはいれません。

たとえば、問題設定の序章部分で村上春樹の短編「かえるくん、東京を救う」から、腹をたてると大地震を起こすがなぜ腹を立てるのか何を考えているのかわからない「みみずくん」を紹介し、何も理解できないし制御もできないことから福島の原子炉と重ね合わせます。そして以下のように述べます

「私たちの世界そのものを揺るがし得る大きな、とてつもなく大きな存在でありながら、世界の〈外〉ではなく〈中〉に存在するもの(略)そんな存在が、露呈したことが、この国の人々を戸惑わせているように思える/言い換えればそれは「大きなもの」をとらえる想像力の不足ではないだろうか、(略)世界の構造のようなものをイメージする力が、変化する現実に追いついていないのだ。そのことが、ある日以降、この国の人々を苛立たせているように思えてならない」

とありますが、2点。
本当に、「「大きなもの」をとらえる想像力」が不足しているのだろうか。ここから、国民国家を超えるグローバル資本主義へと話が進められますが、まず「「大きなもの」をとらえる想像力」の不足がどのように起こっているのか、きちんと言ってくれないとまず議論の大前提ができあがらないので、砂上の楼閣です。あやふやなままの出発なので、その後に続く議論は足下が固まらないのですべて妥当性が留保されます。突き放して言うと、ただ最近の流行の文脈に乗った「イメージ」で語っているだけのように見えます。

そうした論証とは違う認識のレベル。「この国の人々を苛立たせているように思えてならない」とありますが、原発の話で言えば、人々が苛立っているのは「世界の構造のようなものをイメージする力が、変化する現実に追いついていない」からではなく、端的に発表される・視界に入る情報の真偽を判断することができないからなのではないでしょうか。情報の何が正しくて正しくないか、専門家でさえ言うことが違う状況で、我々は「イメージ」などではなく、現実にどうしたら良いかを判断できずに苛立っているのだと思います。

以上はほんの一端ですが、このように一事が万事氏は自身の「イメージ」だけで話をすすめているようにしか読めず、残念ながら内容について感心することができませんでした。これが、誰にでも読めるような開かれた批評として氏が目指しているものなのでしょうか? 氏が毛嫌いする「文体分析」の「誤読芸」でさえ、一時の誤読の面白さを提供するというのに、ここでは我々の社会・文化を扱うのだ!と妙に息巻いている分空しさが漂います。

もちろん批評の役割として、鋭い視点から我々の蒙を啓くという役割がありますが、前著の『ゼロ年代の想像力』にあった「決断主義」のような(これも)粗いながらも興味深くそう言われればそうとしか思えないような面白い構図の提出もありません。
このレビューは参考になりましたか?
55 人中、37人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 1.0 サブカル論で時代は切り開けない 2012/2/24
形式:単行本
前作は良かったのですが、「一発屋」だったのかもしれません。

筆者は村上春樹と仮面ライダーを取り上げて、現実をハッキングする「拡張現実の時代」と現代を読み解くのですが、言葉先行で概念の説明は不足している印象です。
そもそも、社会学にリンクするには筆者の教養が圧倒的に不足しています。
2001年の同時多発テロについて書いてある部分などは、大澤真幸の「文明の内なる衝突」が元ネタだろうと推測できるような内容で、大学生のレポート程度のレベルと言わざるを得ません。

では、たかがサブカル論と甘く受け止めたとして、評価できるかと言えば前作に遠く及ばないでしょう。
むしろ前作より後退しているように思います。
村上春樹は80年代の価値観から出ていない作家です。彼の「父殺し」は、スターリン批判の文脈に乗ったもので、コミュニズムに対するアメリカ消費文化の勝利に依拠しています。世界で読まれているとか言われていますが、中国やロシアなどコミュニズム崩壊後にバブル景気となった国でウケているのが実情です。
「9」が「Q」となろうが、80年代に固執しているのは題名からも明らかです。
そのアメリカ消費文化もいまや冬の時代です。
ビックブラザーどころかリトルピープルだって、サブプライムローン問題で壊死したと僕は思います。

仮面ライダーだって昔の名前で続いているものでしょう? 筆者が論じたがっている富野由悠季の「機動戦士ガンダム」にしてもブームは80年代です。
結局、日本のサブカル文化のピークは80年代であって、現在はその名残を抱きしめているだけに思えます。筆者が持ち上げるAKB48にしても、プロデューサー秋本康(のシロウト主義)は80年代の亡霊みたいなものです。

結局、日本のサブカル論は、80年代を価値とするオッサン的保守的発想を隠蔽しながら、インターネットというテクノロジーの進歩で先端性をアピールするという結果に陥ります。
「拡張現実」もつまりはメディアの技術革新でしかないのではないでしょうか。
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5つ星のうち 5.0 ぜひ続編or新作を!
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投稿日: 18か月前 投稿者: たそがれレビュアー
5つ星のうち 3.0 拡張現実の時代
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投稿日: 18か月前 投稿者: 五島雅
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