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リチャード・ローティ―1931-2007 リベラル・アイロニストの思想
 
 

リチャード・ローティ―1931-2007 リベラル・アイロニストの思想 [単行本]

大賀 祐樹
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

「哲学」と「政治」を峻別せよ!20世紀アメリカを代表する思想家の全貌。国家を否定し資本主義の暴走を許す、「文化左翼」を徹底批判!ポストモダン的相対主義の先にある、「物語」と「希望」の思想。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

大賀 祐樹
1980年生。現在早稲田大学社会科学研究科博士課程在学中。専攻はアメリカの哲学と政治思想、社会思想。経済社会学会に所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 356ページ
  • 出版社: 藤原書店 (2009/9/20)
  • ISBN-10: 4894347032
  • ISBN-13: 978-4894347038
  • 発売日: 2009/9/20
  • 商品の寸法: 19 x 13.2 x 3.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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By
形式:単行本
ローティ哲学の入門書。
今までは、「リチャード・ローティ ポストモダンの魔術師」があったけれども、これはロールズとの議論を中心に据えるものだった。
けど、本書はも本当に全体像をつかむための入門書です。
文章も平易で読みやすく、ローティの思想の下地も書いてあるので、ローティの思想の流れがわかります。

第一部は冨田氏の「アメリカ言語哲学」と結構内容が被っていて、そちらを読んだ人はすごく読みやすいor読み飛ばしてもいいかも・・・
第二部以降は、わたしにとっては初めてのローティ情報満載で興味深く読めました。
著者は文章が平易なだけではなく、まずどういった背景があるのか、ローティの思想よりも少々長いくらいに背景について説明します。
そのためローティの思想に直接触れている部分が決して多くない場合でも、思想の内容そのものは飲みこみやすいです。

第二部のローティにとっての自由主義とは何であり「ミルの仮面を被ったニーチェ」という説明は得心がいくものでした。
三部以降は道徳、宗教を扱っています。やはり下地をしっかり記述した上でのローティ思想ということで読みやすくわかりやすいです。
二部の考え方を踏襲しつつ、それぞれ相対主義との批判があるローティですが、道徳とは、何かとは基礎付けはしないものの啓発的に我々にしめしてくれます。

読み終わって確かに、ローティが相対主義という批判があるのは仕方がないことだと実感しましたが、それ以上に「希望」や「物語」に著者と同じく惹かれました。
読みやすく、分かりやすいローティ入門書です。またアメリカ哲学の流れもある程度知ることができるので、そういった方面で興味がある方にもオススメです。
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9 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Bibliothekar トップ1000レビュアー
形式:単行本
若干29歳でネオプラグマティスト・リチャード・ローティの日本初の入門書を執筆した著者にまず敬意を表したい。大変わかりやすい構図で執筆され、脱帽である。日本語による類書は渡辺幹雄が1999年に表したものが嚆矢であろうが、本書はローティが一昨年逝去したことで、全著作や英文の各種評伝などを網羅的に閲して書きあげられ、大変わかりやすく表現とローティの主著「哲学と自然の鏡」や「偶然性、アイロニー、連帯」などを精緻に読み込んで書かれており、ローティが優れた哲学史家であったと同様に優れた位置づけと解釈を与えており、大変好感が持てる。連関するヴィトゲンシュタインやハイデガーなどへの言及と解釈も判りやすい。ポストモダニストとややもすれば、不適切な位置づけを与えられてきたローティへの評価を精確に解釈した個所もあり、卓越した研究である。著者の今後の活躍が期待される。文献目録、索引にも精緻な配慮がなされた好著である。ローティ入門への基本書としては一級である。
このレビューは参考になりましたか?
6 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
本書に手が伸びてしまったのは、好んでローティ氏の著書を読んできたが故で、
ローティ氏の思想は、概ね了解していた訳ですが、それでも本書を読んで本当に良かったです。
ローティ氏の思想が結実してゆく過程を描いた哲学史の解説が素晴らしい。
よくここまでこの若さで書けたものだな・・・、と驚かされた次第。
特に、認識論的転回(心身二元論)の果実・・・
他者への懐疑、肥大した自己、自分探し、個の確立・・・についての解説が良かったです。
寡作でも結構ですから、味のある作品を紡いで下されば・・・と、願っております。

以下、本書より引用(覚え書き)。
ギリシャ以来、哲学は伝統的に全ての知識を包括するものであり、
自然科学の知識も「自然哲学」としてその体系の一部を為していた。
しかし、近代になると「形而上学」的ではない、実証的な科学が徐々に形成されるようになり、
哲学や神学の学説を覆していった。そのような時代状況において、哲学は「真理」を探求するものではなく、
ただのお伽噺の地位に堕してしまう危険性に直面していた。そこでデカルトは、「真理」とは何か、
という問いを棚上げして、人間は「真理」をいかにして認識することができるか、
という問いにすり替えたのであった。・・・問いの立て方をすり替えることによって、
実証的で外在的な知識の探求に関しては自然科学の分野にその地位を譲ったものの、
哲学はその知識の認識方法を探求することによって、より上位の立場を保守することができ、
学問の基礎としての地位を延命させることが可能となったのであった。

ギリシャ以来の哲学や神学においては、普遍的なものとはいかなるものか、
永遠にして不変なる存在とはいかなるものなのか、という問いを直接問うことが主題とされてきたのに対し、
デカルト以後の哲学においては、「<普遍的なものや永遠、不変の存在>というものをわれわれは、
いかにして客観的に認識することができるのか」というように、
その主題が「認識論(epistemology)」へと「転回」したのである。

デカルト・・・
確実な存在である思惟するものとしての私の「心(mind)」は、
いかにして外界における延長する物体である「物」を認識するのか、
というように「心」と「物」の分離が行われた。

二元論にはいくつかの弊害が伴っている。
第一に、「私」の内面は「私」にしか知られず、逆に他人の内面を知ることができないとすれば、
「絶対確実」に「心」を持っている「私」以外の存在者が「心」を持っているという証拠はないのではないか、
というように「独我論」に至ることである。・・・
「心身二元論」を議論の基礎として自己の思考以外の全ての存在を疑うのであれば、
論理的に他人の「心」の存在を確実なものとして証明することはできないのである。・・・
第二の弊害とは、「心」の特権視による自意識の肥大化である。
中世ヨーロッパの人間観は、まず神が頂点として君臨していたが、
「認識論的転回」によって神の存在よりもこの「私」が神をいかにして認識するか、ということが問題とされるようになった。
そのことによって、自分にしか知ることができず、他人とは絶対的かつ存在論的な違いのある、
この「私」とは一体なんなのか、という内面への探求の旅が始まる。
この「私」は自分にとって世界の中心を占めるわけではあるが、
かといってそれが一体何なのかということは、何かに基礎づけられたりすがったりして知られることではなく、
結局のところ「私」にしかわからないものであるために、永久に解けることのない謎である。
そのような寄る辺なき「本当の私」を探求する無限の迷宮に陥った近代人は、
常にシュールレアリスティックな苦悩を抱えることとなってしまうのであった。
しかし、心身二元論は弊害をもたらしただけではなかった。他の誰でもないこの「私」の確立は、
近代的な個人を生み出す源の一つとなった。そして、内面は「私秘的(private)」であるということは、
自分の「心」の中だけは他人の権力から自由であることができるし、またあるべきだというような、
近代自由主義の議論の根拠の一つとなった。
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