80年代末期から90年代初頭にかけて、ミクスチャーロック/クロスオーヴァーというのが大流行したが、このTV ON THE RADIOというグループは、正しくミクスチャー、これ以上は無いと言える程の徹底したグツグツごった煮サウンドを聴かせる。ハードロック、オルタナティヴ、インダストリアル、R&B、ヒップホップ、ファンク、ダブ、ワールドミュージックetcetc...。オールドスクールからニュースクールまで、ありとあらゆるジャンルを呑み込んで、それらが別の何かを侵食したり圧することもなく、最高のバランスでブレンドされ、究極の美味濃厚スープを抽出した、といった趣なのだ。しかも、現在ロックシーンにおいての、最先鋭サウンドと呼べるものであるにも関わらず、その楽曲自体については、極めて親しみやすいポップ感に溢れており、こういったバンドにありがちなとっつき難さは微塵も感じられない。いやはや、凄いグループが現れたものだ。RADIOHEADやBjorkの近作に、最近やや行き詰まり感があるだけに、次代のシーンの牽引役として、彼らの存在が大きく取り上げられる日もそう遠くは無いのでは、と思わせる強烈な作品だ。SPIN誌で、昨年のナンバー1アルバムに選出されたのも十分に頷ける。