筆者もラス・メイヤーは好きなのですが、映画好き仲間から「ワイルド・パーティー」ってメチャクチャでスゲーよな!と言われる時、いつも「う、うん・・・」と煮え切らない返事をしてしまう。それはリスペクトしてやまないケン・ラッセル監督の本作「リストマニア」がつい頭をよぎってしまうからなのです。でもそれって音楽家フランツ・リストの伝記映画でしょ?とお思いの諸氏、どんだけムチャクチャかご紹介しましょう。
冒頭、リスト(ロジャー・ダルトリー)は夜這いの真っ最中。そこにご婦人の夫が登場し、いきなり決闘に!急にカントリー調の音楽が流れ出し、陽気なDJの決闘中継。ご婦人はバナナをおしゃぶりしながら見学、リストはターザンのまねして大立ち回りするも敗北。ピアノに押し込められ、線路の上に。折しも彼方からは汽車が迫り来る!「助けてくれ〜」と叫ぶリストをよそに、追突・大爆発!白光ほとばしる中、ハッと夢から覚めるリストにタイトル・イン「 Lisztomania 」
このオープニングだけでも、「男はつらいよ」全シリーズの夢のシーンが束になってもかなわないブッ飛び様。しかも、これはまだ序の口。リストはまるでロックスターのようなギンギラ衣装でステージ演奏、キャー!と女の子たちの黄色い歓声。そんな彼をライバル視するワーグナー(ポール・ニコラス)は、ヴァンパイアになってでもリストを超えようとするのである・・・!
本作のハイライトの一つは、映画中盤、リストの男性自身が巨大化し、それに群がる女たちとの前代未聞の大ミュージカルが繰り広げられるシーン!もちろん全面モザイク(笑)初めて観た時、あまりのイチモツの巨大さに、筆者はリストが巨大なカタツムリ(きっと「ドリトル先生」を連想したんだろうなぁ・・・)に乗っているのかと勘違いして「なぜカタツムリにモザイクが?」と思ったくらいのトンデモシーンなのです。
「そんなの嘘だ・・・」と思うのはまだ早いのでありますが、試しに本作のジャケットデザインをご覧あれ(サントラ盤も同じ)リストが雄々しく剣をかざしているように見えるが・・・よくよく視ると、実はムスコに群がる女たち、のだまし絵なのです(このデザインはもはや神話レベルだ!)
さて、色々あって、ワーグナーは悪の道をひた走り、ついに人造人間まで創ってしまう。アメコミのマイティー・トールそっくりの全身銀色のアンドロイド君登場。しかし命を吹き込まれたと思いきや、口からゲロ吐いて即死。失意(?)のワーグナーは遂に力尽きてしまう。と思ったら・・・、往生際が悪いワーグナーは、ヒットラーとなって復活(いいかげんにしなさい)マシンガンを乱射しながら、世界を滅亡せんと暴れまくる。
そしてリストは、かつての愛人たちとパイプオルガン型の戦闘機に乗り込み、ワーグナーとの最終決戦に挑むのであった!
「絶対ウソだ・・・」とお思いの諸氏。現在の段階ではビデオでしか観る事ができないのが本当に残念。しかしこれは、真面目なクラシックファンが観たら、怒りのあまり1ヶ月は不眠症になってしまうに違いないブッ飛び映画なのです。「ロッキー・ホラー・ショウ」も長年友人からオススメされているのですが、中々視聴の気分が盛り上がらないのは、本作の存在が筆者の脳内トンデモ映画の殿堂にましまして居るからなのであります。変な人たちが変な事をする映画は数あれど、歴史上の人物をここまでデフォルメしてしまった映画はそうそう見当たりません。
ケン・ラッセル。なぜか代表作はほとんどDVD化されていません。輸入版ではちらほら、出てきているようなのですが・・・。という事で是非とも、映画史をひっくり返しかねないこの孤高の珍品を、野心あふれるメーカーの貴方、よろしくお願いします!
ではそのうち「肉体の悪魔」など、まだまだあるある他のケン・ラッセル映画も書きますよ。絶対。