「死と税金のほかには、確実なものは何もない」
身近に溢れる統計数字に関する誤った認識を解く、統計数字の正しい理解のための心構えと方法論を解説する。
一般に医療機関の検査などは、「ほぼ100%確実」と思われているし、医者の診断や検査の結果に誤りがあることなどはほとんどの人が想定していません。
そうした中で、「病気に感染していればこの検査で99.99%陽性となります」(条件付き確率)などと言われれば、検査で陽性となった人は、ほぼ確実に病気にかかっているものと考えてしまいます。
でも、この話には「病気に感染していなくても、陽性となる確率は2%です」「この病気は人口の1%が罹ります」といった情報が抜けています。実際に、この病気になっており検査で陽性になる人は「自然頻度」で考えると、100人の母集団のうち1人。検査で間違って陽性になる人が2人。そう考えるとテストで陽性になっても、3人に一人しか実際に病気にかかっていない(ベイズの定理。陽性の人が病気の確率は、「(陽性&病気の人数)÷{(陽性&病気の人数)+(陽性&病気でない人数)}」となる)ことになります。
上記の例のように、本書を読めば、統計数字が表わすことの本当の意味が理解できるようになります。また、世間に溢れるさまざまな統計数字にいかに誤った印象を与えるものが多いのか、実感させられます。知らずにいたら騙されることがいかに多いことか!
著者も主張しているとおり、統計数字の理解の仕方は学校でも分かりやすい自然頻度の考え方を使ってしっかり教育すべきと思います。
なお、この本を読むまで、乳がんの検診に本書に書いてあるような大きな「偽陽性」(テストで陽性になったものの、実は病気になっていないこと)があることは知りませんでした。しかし、その事実は日本においてもほとんど話題になることはありません。意図的に情報が隠されているのか、単に見過ごされているのかは分かりませんが、まず、正しい情報がこちらに分かるように伝わっていないことには正しい判断ができるわけがありません。ちなみに、マンモグラフィーについてのWikipediaの英語版と日本語版の違いを見ても、違いがあることに驚きます。(この点は本書の主題ではないですが)
世界には確実なものはほとんどない。だから、僕たちは何事についても不確実な選択肢から選ぶことを強いられます。そのときに、確率やリスクを正しく計算していないと思わぬ損をすることが多いです。分かりやすく確率を理解するため、本書の考え方は必須のものと感じました。数学が苦手な方でも大丈夫。是非一読をお勧めします。一生役に立つ考え方と思います。