リチャード・マシスンの本が出るということは実に喜ばしいことです。知る人ぞ知る作家であり、未訳もたくさんあるというのに、きっかけがないとナカナカ出ない作家ですから。今回は映画化につられての出版です。未訳が出版されるためにもどんどん映画化してほしいところです…。
表題作は既刊「
運命のボタン (ハヤカワ文庫NV)」と重なっていますが他は、初訳・新訳含む読みごたえありの全10作品。
SF、ホラー、ミステリ、そして奇妙な味わいの作品とバラエティに富んだ一冊で、そりゃ文句なしに面白い有名短篇は既刊にありますので、あれれ?と感じる作品もあるかもしれませんが、お好みにあった拾いものが見つかること請け合いです。僕は存分に楽しみました。
約1年前に読んだばかりの「リアル・スティール」(旧題「四角い墓場」)は何度読んでも傑作で、映画では全く違った話のようですが、どのようにハリウッド化されるかを楽しむためにも読んでおきたいものです。
「白絹のドレス」は短い話ですが、余韻は深く長く残る好篇(とても気に入りました)。
そして、脚本家としても有名なマシスンですから、「世界を創った男」のような形式で小説を書くこともそりゃあったのでしょうね、あっという間に世界観が変わる面白さ。
問題作の「おま★★」は、昔読んだ「ショク……」の新訳。原題が"F..."でそれはコレコレというウンチク込みの邦題でしたが、今後は『おま★★』のまま、ドキドキしたり、ニヤニヤしたり、英語圏の読者と同じ気分になれると思います。このタイトルで訳されただけでもこの本は価値があります!
さて、アメリカで好評の映画『リアル・スティール』、続編の話もちらほらあるようですね。しからば、続編公開時には『リアル・スティール2』(仮題)として、短篇『リアル・スティール』だけ重なった新しい短篇集を出して欲しいと思っています。何度収録されていても僕はかまいません、そのときに読んでも、また面白いでしょうから。