桐野作品は、リアルな女性描写に定評がある。探偵「村野ミロ」しかり、『OUT』の主婦連しかり。そこには世の男性陣の幻想であろう「優しく弱い」姿はなく、図太くしたたかに生きる女性像が描かれている。本書もまた女性の描写がおもしろい。といっても、従来作品にある「大人の女」とは異なり、ここに登場するのは女子高校生4人組である。大人のように1人で歩むことはできず、子どものように無邪気になれるわけでもない彼女たち。油断すると足元をすくわれそうな世知辛い世の中から、懸命に自分を守りながら生きている。ある者は目立たぬようにと細心の注意を払い、ある者はバカなふりをして。これが「イマドキの女子高生」の真の姿なのかもしれない。(冷水修子) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
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登場人物5人の一人称で語られるこの物語は、一見とても意欲的だ。
好きあらばカモろうとする「今」の世の中を、ある者はハンドルネームを名乗り、ある者はバカなふりをしヨロイをまとって生きている。あたしの傷(瑕)は誰にもわからない、と自意識の壁を張りめぐらせ、その孤立感からミミズに共感もしくは反感を抱き、思わぬ歯車を回してしまう。
しかしその実、語られているのは「ホントの自分」と「人の目に写る自分」との乖離から生じる葛藤であり、その克服という不変的なテーマである。誰にも秘密と思っていた「ホント」が、実は仲間に受けとめられていたというのは、温かくも悲しい逆説だ。
とはいえ、男性の登場人物があまりにも情けない。歯車の核だったはずのミミズは途中から形骸化し、携帯と手紙でのみ登場するワタルはとってつけたように悟っている。唯一魅力的だったのはテルだが・・・。テンポよく読めおもしろいが、次作はもう一味の熟成を期待します。
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