畠山さんは牡蠣の養殖で有名ですが、宮城県で最初にホタテの養殖に成功されたパイオニアだと言うことはこの本で知りました。
気仙沼あたりが養殖の南限とのことで、20才当時、昭和40年前後に北海道から陸路ホタテの稚貝をハンドキャリーする話などは血気盛んな青年が情熱だけで突っ走る姿が目に浮かぶようで手に汗握るスリリングな話しですし、今ではスーパーで当たり前のように見られるホタテがそうなったのも著者達のたゆまない努力のお陰なんだと思わされます。
章立てや構成が素晴らしく、個人的に感動したのは「海草から生まれた女」や「潜り様」などの話は三陸の海の力が如何に素晴らしいかを知ることが出来ますし、古老たちに聞いた昔の三陸の姿を的確に描写するその筆力は、並のエッセイストの域を超えてます。
リアスの語源を検証すべく最後はスペインまで旅立ってしまうのですが、よくぞここまでと思う執念深い取材と分析、それをまとめ上げるストーリーは読む者を飽きさせません。
個人的には司馬遼太郎の取材分析能力と品格を彷彿とさせるというか、その水準の作家さんと思いました。
年に何冊か良い本に巡り会ったという感動を味わいますが、そんな一冊です。
同じく「日本<汽水>紀行―」もこれと内容は重複しませんので、この本が気に入られた方にはお勧めです。
畠山さんには海に生きる人たちの生活をもっと語って欲しいと思いますし、今後の著作にも期待します。