筆者はかってアメリカのワシントンDCで銀行マン、エコノミストとして活動した経験を持つ。マクドナルドとラーメン、日米の国民が愛する食べ物を例に、それぞれを最大公約数的需要に応えるものと多種多様な嗜好に応えるものとして挙げ、比較対照しながら、双方の差異を解析する試み。
以下、俎上に上げられているのは、ポップカルチャー、国家のトップの所信演説、ディベート、金融資産の運営手段、エバンゲリカルズ、スコアリングモデル、格差ら。文化、国民性、思考、論争、宗教、そしてビジネス経済までフィールドを広げた守備範囲に感心しつつ読んだ。
さすがに金融の第一線で活躍してきた筆者だけに、金融政策と個人投資についての言説には拝聴させられる事が多いが、投資リテラシーに努めながら、アメリカの現在の金融危機をも千載一遇のチャンスと捉え、一般の個人投資家にリスクテイクマネーとして勧める辺り、何とも因果な性分を感じさせるなぁ(苦笑)。
むしろ面白かったのは、第2、3章。政治家トップの所信演説の用語から考察した日米のポジティブとネガティブの対極の思考が、フロンティア・スピリットと天然資源枯渇の島国コンプレックスに起因すると言い切り、日本は危機感駆動型思考の閉塞感を希望駆動型に変える事が重要との意見には共感出来る。
読んでいて、"墜落した旅客機に運悪く乗り合わせてしまったとして、500人の乗客の内生存者が10人いたとしたら、自分は生き残っているか?"との設問に、日米の人々で全く好対照の答えが出たとの逸話を思い出した。(因みに生き残ると答えたのはそれぞれ1割と9割。どちらがネガティブな反応が大勢を占めたのかは言うまでもない)