ラーメン二郎という身近なテーマを、経営学的な視点から考察するという興味深い一冊。著者自身、熱狂的なジロリアン(=ラーメン二郎のファン)であり、本書から、ラーメン二郎のスープの匂いが漂ってくるかのようなシズル感がある。
◆本書に紹介されている、ラーメン二郎・成功の秘訣
・野菜、タレ、アブラ、ニンニクなどのカスタマイズができるが、一見さんには複雑でタイミングが難しい。これがヘビーユーザーの優越感を高め、ロイヤリティを高めている
・大学生を重要ターゲットにすることで、その後のライフタイムバリューを最大化している
・達成感、爽快感、店主・客との一体感という情緒的価値の提供が唯一無二である
・顧客の声を聞くのではなく、自ら顧客に尖りをぶつけている
・たっぷりで、こってりというコアバリューが明確。また、圧倒的な量の超極太麺、脂ギトギトのスープ、立方体のチャーシュー、円錐形のもやしなど、突っ込みどころが満載で、話題化されやすい
・新店オープンの初日は、各店の店主が勢ぞろいするオールスターチームで構成され、他店に真似のできない効果的なローンチ・プロモーションになっている。
・支店を出す際は一子相伝で修業をし、各店舗に味の裁量を渡し「自分の信じる最高の二郎」を作り上げるられるような組織作りを行っている
・社訓の一つは「ニンニク入れますか?」。ここに、”顧客ニーズに最大限こたえる”という経営哲学がある。
ラーメン二郎の行列のポイントを一言でいうと”顧客のファン化による積極的関与”ということに尽きると思う。すなわち昨今ソーシャルメディアでの企業PRかくあるべし、と言われることと実に共通点が多い。ラーメン二郎が提供しているのは、お客さんへの愛情のみであって、ストーリーを感じることも、ロイヤリティの構築も、意味づけ、マーケティング、その他のことは、お客さん自身が勝手にやってくれている。つまり、ソーシャルメディアを活用しようとしまいと、ビジネスとして大切なことの本質は変わらないという好例でもある。
と、ここまで平静を装って書いてきましたが、お腹が減って我慢できないので、ラーメン二郎に行ってきます!