『ALICE』、『TEXT』を経て、2009年のラーメンズが表現したのはカオス。
初期の公演を意識したのか解らないが、今回は何となく失敗しているような印象を受けた。『ALICE』では「小林賢太郎のプレーヤーとしての欲求を満たすため」と「いつも通り片桐仁がおいしい存在になる」と云う二つの条件をクリアするために、ラーメンズらしさをより強めた脚本が練り上げられていたし、『TEXT』は、日常に転がる『言葉』をもはや神々しいものに感じさせるような、ラーメンズの今のところの最高到達点だった。
しかし、今回の『TOWER』はどうだろう。シュールなアイデア一本を巧いこと構成し押し通していくようなお馬鹿コントが多めで、それはそれで構わないのだが、だったら初期の『home』『FLAT』『news』のころのほうが断然面白かった。
一本目の『タワーズ』は、謎の天の声から出題されるお題に沿って箱を組み立てていくと云うものだが、あまりにも使い古された手法だし、新鮮さもなく、途中から退屈になってしまう。ただその分、二本目の『シャンパンタワーとあやとりとロールケーキ』は面白かった。三本目の『名は体を表す』はさらに面白く、片桐のはっちゃけっぷりと小林の器用な変声と女海賊クリムゾンメサイヤの架空の活躍には爆笑した。だが、四本目の『ハイウエスト』では、『タワーズ』以上の退屈を感じてしまい、ほとんど笑えず、五本目の『やめさせないと』が心配になったが、これは普通に面白く、多少ベタ感が拭えなくても、ルームシェアと云う設定や『スターバックス』などと云った店名をダイレクトに出す感じが何となく初期のころを思わせた。問題は六本目の『五重塔』。これは、だいぶ好き嫌いがわかれるであろう代物だったが、僕はこの演目に一番笑いを消化したような気がする。最後の『タワーズ2』は、一本目と同じ設定。予期せぬところで出演キャラクターの振り返りがあり、そこで少し楽しめた位。
公演全体を見てみても確かに『ラーメンズ』なのだが、やはりどこか不完全燃焼だった。