いやー、素晴らしい構成の映画です。
どこまで現実か、どこから夢かは映画の終わりのほうでしかはっきりしないのですが、というよりこの映画がつまらないという意見を良く聞きますが、それはこの境界をはっきり認識していないためと思われます。
冒頭のクラブ。ここでのほんの一瞬の出来事だと思うんです。あとは主人公たる男の頭の中。
好きな歌手(女)を愛情と誠意を持って、自分のものにして(途中、マザコン、ストーカー的な隠喩描写はあると思いますが)幸せの絶頂の「アリア」をアルプスを背景に歌うのです。人間の形をした妖精も登場します。もう天界の世界ですよ。
しかし妻にした女に裏切られ(不倫)その女を許すことが出来ない中、女は自由にさせてもらえる代償として結婚したと思っているので精神的に自分の殻に閉じこもります。
そして、「死」。もう夢はドラマティックにとばかりに幸せから不幸への展開。妻の遺言は、「夫への仕返しとともに夫の家族としての永遠の帰属」。
そのためには、夫は妻を「骨まで愛さなければなりません」(狂気を演じなければならないのです、夢のカオスの部分です)まさに熱情のこもったドラマティックオペラそのものの展開。
ふと気がつくと、冒頭のショーの会場。まさにこの映画の観客も夢を見せ付けられたわけで心地よいだましに遭うのです。
そして、表面下での主人公の男と女の激しく静かな感情のぶつかりあいとはべつに、映像は現実の物、人物を全て使って夢の世界を構築するといった素晴らしい構成だと思います。このことに気がついたときこの作品は大変、深い内容を含む愛すべき作品だと思うようになりました。BGVでもいい感じですよ。私は大変好きな作品ですが、確かに周りの評価は厳しいものがあります。しかし夢か現実か、その境界を楽しみましょうよ。
夢の世界は「オペラ」に匹敵するように作られております。愛の表現の機微として。DVDは音は悪く、映像はかなり傷がついております。しかし、そんなことより精神的浮遊感を楽しめることと思います。良いなあ、本当。