私的には星4つとしたグアルディア上下巻の前日譚です。
ストーリーとしては、グアルディア下巻で予告されているように、
26世紀では混血が進んだメソアメリカの僻地の村で、何故カルラのような金髪碧眼の純コーカソイド系の子供が産まれてきてもおかしくないのか、その先祖の由来、
製造当初は30体存在した筈の知性機械サンティアゴの生体端末達が、アンジェリカの直接の先祖を除いて滅び、ただ1人の生き残りが何故メソアメリカの寒村で聖処女として崇拝を受けるに至ったのか、
そして生体甲冑と書いてアルマドゥラと読む、旧世界の技術から作られ実際に運用された生物兵器は、どうしてエスペランサに『保護』されてきた(それを実際に目にしたことが無い筈の)生体端末アンジェリカ達の興味をかきたてたのか
といったグアルディアでは、解き明かされず仕舞いだった幾つかの謎についての解答がみつかるのが、この作品。
が、が、グアルディアと比べると、私としては評価を下げざるを得ないような気が。
前作と同様、暴力的なシーンはビビッドすぎる程の描写なのに、キャラクターの人となりを浮き彫りにするのにも使われているらしい食事シーンは、南米的なメニューほどリアリティが欠けるような気がするのは、私の気のせいなのかなあ?
シーン転換がやはり映画的に展開していき、幾つかの視点から語られるのも前作と同様っぽいですが、単純に過去から未来へと流れていく訳ではなく、回想シーンらしい過去の断片と、物語の舞台の時代の断片が交互に語られるという仕組みになっています。おかげで、ストーリーの始まりの始まりに繋がる部分へのつながりが、最後にならないと語られないという二重構造になっていて、それがグアルディアの始まりでもあるというシーンが挿入されているので、煩雑な気も〜。
ことに、このストーリー中、同じキャラクターの視点で語られているシーンでも、一人称だったり三人称だったりもし、シンボリックなイメージを説明する為に切り替わったシーンではかなり中立的な視点から語られるというおまけがつくのも読み進めるのにはきつかった…
ストーリーの構成的にも、またテーマ的にも死と再生が円環のようにつながっている世界観を演出したかっただけなのかも知れませんが。
前作で語られなかった謎の幾つかには焦点が当てられたものの、作者が後書きで全然言及していなかった通り、私的には前作で一番注目していた不老種のクリストフォロ・ドメニコの先祖についてはまーったく触れられていなかったのもがっかり。
クリストフォロのことまで風呂敷広げちゃうと、ストーリーの整合性が取れなくなっちゃうのは明白なので、しょうがないなーと思いつつも。
前作を読んでしまっている身としては、どうしてもグアルディアと比べてしまいます。前作中で作者としては未消化だった設定を消化する為に書かれた印象の濃い今作というネガティブな観点から。
そーいえば、私は、ウブカタのマルドゥクシリーズもスクランブルは好きだけど、ヴェロシティはあんまり気に入らなかったという好みなんですよね…
前日譚属性が余りない人間が、どうしても印象が強くなる前作と比べてすねてるだけなんでしょーか??