このアルバムは1987年に発表されたものですが、それまでのアルバムと異なる点として
アメリカ志向があります。それまではまさにブリティッシュ・ポップという曲を作っていた
アズテック・カメラがソウルを中心とした黒人音楽に目を向けたのがこのアルバムなのです。
バック・ミュージシャンに、マーカス・ミラー(b)、スティーヴ・ガット(ds)、スティーヴ・
ジョーダン(ds)といった腕利きの黒人ミュージシャンを迎え、録音もアメリカで行ったという
ところにそれは顕著に顕われています。
そういった意味で音の肌触りははっきりと変わっていますが、アズテック・カメラという
バンドの音楽を決定づけているロディ・フレイムの声、メロディ、ギターというものは同じ
魅力を放っており、やはりアズテック・カメラとしかいいようのない作品になっているのです。
それではアズテック・カメラの音楽とはいかなるものなのでしょうか?私は、“永遠の少年性”
だと思っています。それはロディ・フレイムという人が持っているものなのでしょう。
5年ほど前にサマーソニックで観たロディ・フレイムのステージからもアズテック・カメラの
頃と何ら変わらない、純粋で透き通ったオーラを感じました。そのときに自分がなぜこれほど
アズテック・カメラ、ロディ・フレイムに魅了されるのかを理解できた気がしました。
打ち込みのドラムを使った曲があるのには正直驚きました。やはり生演奏の方があって
いるなというのが正直な感想ですが...曲は切ないバラードから、弾むようなポップまで
ヴァラエティーに富んでいます。どの曲もやはりロディ・フレイムの手によるものだと実感
できる非常に完成度の高いものばかりです。個人的にはメロディが素晴らしく、ちょっと
ロックぽいギターも聴くことのできる『Somewhere In My Heart』、女性ヴォーカルとの絡みが
ソウルぽさを強調し、まさにブルー・アイド・ソウルといった、このアルバムの空気を代表する
『One And One』がお薦めです。
打ち込みを多用したことによって、今聴くと古くさく感じる部分もありますが、アズテック・
カメラ、ロディ・フレイムの作り出す音楽は聴き逃すことが許されない、そう言い切れる
クオリティーの高いものばかりで、やはりこのアルバムも例外ではありません。まずはこの
アルバムから、彼の素晴らしいポップワールドへ旅立ってみてはどうでしょうか。
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