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思わず踊り出したくなるほど軽快なロカビリー・ナンバー(1) & (3)、キャッチーなメロディを持つフォーク・ロックの(2)、しっとりと聴かせるジャズ・バラード(4)、チャーリー・セクストンのギターが渋いブルーズ(5)&(11)、ヴァイオリンがフューチャーされて優雅な面もちを漂わせるジャジーな(6)、バンジーの音色が印象的なウェスタン(7)、戦前のポップスを彷彿とさせるムーディな(8)、ハードなロックンロール(9)、本作における私にとってのベストトラック(10)、(10)と同じく美しいアコースティック・バラード(12)。
ディラン自身が「これまでのどのアルバムとも違う。強いて言うならグレイテスト・ヒッツ的な内容だ」と語った通り、個々の楽曲の特徴が際だったヴァラエティ色豊かな本作は、ともすれば纏まりのないアルバムとなっていたであろう。しかしそこはさすがディランである。還暦を迎えてさらに円熟味を増した彼の激シブなヴォーカルが、様々なベクトルをもった楽曲群を一本の矢の如く貫き、完全に一枚のアルバムに収斂させている。
ロックがよりヘヴィに、よりラウドに進化して今日、いかなるテクノロジーをもってしても、ここまで50's~60'sの雰囲気を醸し出すことは不可能なはず。そしてその不可能を可能に変えてしまうのが、ボブ・ディランというアーティストなのであろう。本作を聴いて、改めて彼の偉大さを痛感した。
それがディランの今度の新作「ラヴ・アンド・セフト」。
とりわけ新しき世紀に対し動揺する人々の心情をありのままにうったえていると思われる。
デビュー以来、時代の移り行きにともなってディランもあらゆる変貌を展開してきた訳だが、先にも触れたプロテスト(うったえる)な彼を象徴する部分は、新世紀になってもどうやら変わっていないらしい。
その意味で熱心なファンも安心して聞けるし、そうでない人でもグルーヴ感溢れる楽曲もあるので身体と心で感じて楽しむことが出来る。
まさに必聴たる一枚である。
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