ブレーズはCBSでかなりラヴェルの録音を残している。代表的なものはニューヨークフィルとクリーヴランド管弦楽団によるもので、これらにドビュッシーの代表作を加えた4枚セットも以前はあった。ブレーズはもともと作曲家で、眼光紙背に通る分析力でフランス音楽に不可欠な各声部の明晰性をオケでも実現している。個別的に見ると、ニューヨークフィルとの相性はあまりよくないようで、アインザッツがたがたのボレロなんかは聴いていて痛々しい。トロンボーンは特に犯罪的。またダフニスについても、ニューヨークフィルは上手いけれども色気というか音色の魅力がない。ブレーズがクリーブランドで振ったダフニスは絶品なのに、なぜかこのCDに入っていない。おそらく第一組曲を録らなかったせいだろう。残念である。指揮者として有名になってしまった人であるが、個人的には割とオケ任せにしているところが感じられ、いわゆる鉄壁のアンサンブル、を目指してはいない。フランス人だなあと思う。日本公演で初めて生で見たブレーズは5mしか離れていなかったが、ニューヨークフィルをリラックスした雰囲気で自由に振っていて、メンデルスゾーンの「イタリア」では両腕をぐるぐる回して打点がわからない楽しい踊りを見せてくれた。打ち合わせが完全に済んでいるのでアイコンタクトだけでよし、と踏んだのだろう。面白い人である。