カラヤン氏とベルリンフィルは「ボレロ」を3度録音しています。今回録音のボレロは前回録音のものとは大分異なっています。通常「ボレロ」は曲の終盤に劇的に弾けるのであり、それが魅力のひとつでもあります。前回録音のものは地味ながらもこのパターンを踏襲した造りなのですが、今回録音の「ボレロ」は終盤になっても弾けない。あたかも行進曲(それも奇妙な行進曲)のような様相を呈してきます。それでいながら次第に陶酔と興奮に文字通り「引きずり込んで」ゆく本質はしっかり兼ね備えているのも事実です。ラヴェルの曲の特徴はその対象となるものを「観察者」の視点で細密画のように音で描いていく点ですが、「ボレロ」のようなある意味「抽象的」な曲は幅広い解釈を許容するのかもしれませんね。「展覧会の絵」は素晴らしいと思います。「スペイン狂詩曲」はカラヤン氏がパリ管と録音したものがスタンダードで、さらに抜群の出来なのでどうしても比較してしまう。