同時にリリースされたラヴェルのピアノ曲集の第2集にあたり、第1集と同様67年に集中的に行われたセッション・ステレオ録音。尚組曲『マ・メール・ロワ』はピエール・バルビゼとの連弾になる。以前買ったARTリマスター盤が時代の埃にまみれて色褪せているように聴こえるのに対して、このHQCDではオリジナル・マスターの精彩を取り戻した鮮やかさと臨場感が特筆される。
フランソワのラヴェルには特有の鋭いセンスが漂っている。しかもそれが決して神経質なものにならず、流れを失わないのは彼の創造する音楽が即興的に千変万化する自在な表現力に支配されているからだろう。高貴な哀感を湛えた『亡き王女のためのパヴァーヌ』、流麗で神秘的な『水の戯れ』、燦然とした『古風なメヌエット』、恐ろしく多彩で緻密な『鏡』や機知に富んだ『ソナチネ』、そして映像的な描写が巧みなバルビゼとのデュエット『マ・メール・ロワ』など魅力の尽きない曲集だ。