「ボレロ」のラヴェルを滑稽さと皮肉と悲哀をこめて、愛すべき作曲家として表現されています。独特な文体、例えば演奏旅行やヴァカンスといった事実は「〜だった」と端的に書き、ラヴェルの神経質な、しかしコロコロと変わりやすい気分などを表すときには、彼の気持ちを代弁するようにテンポ良く描写しています。
特に「ボレロ」の作曲秘話と解釈、そして「ボレロ」を作曲したあとの話が面白いと思います。「ボレロ」で意図せず喝采を得てしまったあとに、作曲における音楽について苦悩する。今でもこういうことに悩む創作者はいると思います。自分の創りたいものと世間の評価の違い、ちなみに私は「亡き王女のためのパヴァーヌ」のほうが好きですが。途中まではとっつきにくいかもしれませんが、タイトルにひかれた方は読んでみても良いかと思います。