いろいろな意味で裏切られた作品。歴史のある中国武侠映画に、この路線が残っているとは気づかなかった。タイトルやパッケージ、予告編は「HERO」や「LOVERS」の路線であり、ストーリーもプロットだけ見ると悲しい運命に翻弄される恋人たちの物語なのだが、冒頭のアクション・シーンのセシリア・チャンの語りから「えっ?」という感じ。
前半30分で一流半のキャストによる武侠コメディであることに気づき、先入観で購入したことを後悔したのだった。コメディならコメディで徹底的にバカバカしければそれもまた楽しいのだが、この作品は何とも中途半端。映画音楽もいままでの武侠映画と比べるとかなりの違和感がある。脳天気な女子大生そのものの女剣士「小白龍」にも、真面目なのかトボけているのかはっきりしない盲目の殺し屋「鶏の羽」にも感情移入しづらい。
しかし、この作品が本領を発揮するのは中盤から後半にかけて。この作品のテーマはアクションでもコメディでもなく、小白龍と鶏の羽のドラマにあったのだ。そのことに気づくと、中途半端に思えた人物設定や演出、音楽にも必然性があると思えるようになる。全くお互いを理解しようとしなかった2人の心が徐々に接近していく展開に説得力を持たせるには、この2人のキャラクター設定は必須だったのだ(結果論かもしれないが)。意外性のない皇太子と第二王子のキャラクターも、後半の展開を考えれば納得。主演がチャン・ツィイーとアンディ・ラウではこうはいかない。やはりセシリア・チャンとフランシス・ンで正解なのだ。
香港映画ファンはいい意味で裏切られる作品。香港映画ファンでなければ単に裏切られる作品かもしれない。