前作からはや3年半、製作期間1年半。彼らのブログなどで、今までになく細部に渡り丹念に丁寧に時間をかけて作り込まれていることが伝わってきたので、期待が大きかった反面、オーバー・プロデユースによるマイナス面の不安もあった事も確かだ。
どうやらその不安は杞憂に終わったようである。
このアルバムは間違いなく最高傑作であり、彼らは日本ポップス史上に永遠に語り継がれるべき金字塔を打ち立てたと言っても過言ではないだろう。
私は、過去にこれだけ美しく、幻想的な作品を知らない。
昨今のJ−POPでは、ヒット曲狙いで王道進行の循環コード(Fmaj7,G7,Em7,Am)ばかりで、少々耳障りになってきているのだが、この作品は転調に次ぐ転調。複雑なコード進行に儚い美しさを感じるメロディーがくっきりと浮き出ている。
1曲1曲を納得のいくまで作り込んでいったんだろうと思う。
サウンドプロダクションはとてもシンプルで音数も少ないのだが、その1音、1音がとても効果的であることが聴き込むうちにわかってくる。
それだけではない。
永井祐介と榊原香保里のヴォーカルは今までのLampでも充分魅力的だったが、このアルバムでのソロ・パート、そしてコーラスワークは前作までと較べて格段に進化している。
どれだけ歌い込んだものであろうか。
バック・ヴォーカルの石橋悠三が加わったことで、幻想的な領域まで昇華しているようだ。
詞作面でも、前作あたりから顕在化した耽美的な詞がさらに練られ、素晴らしいものになっている。このアルバムを傑作たらしめているのは、この部分も大きい。
美しいブックレットの歌詞を読みながら、出来れば家で大音量で聴いて欲しい。
まるで11編の優れた連作短編小説のようである。
自身のブログで染谷太陽がこう言っている。
「もし出来れば、試聴していまいち良くなくても、是非買って帰って家で何度か聴いてみてほしい。そして、聴くときは、いつもより少し音量を上げて聴いてみてほしい。そんな作品です」
このアルバムの真価は11曲通しで聴いてはじめてわかるものだと思う。
「家で」というところがキーポイントで、恥かしながら車で6回聴いてもピンとこなかったのが事実だ。